Netflixで再燃「バカリズム脚本ドラマ」の魅力 まだまだ快進撃続く「ブラッシュアップライフ」

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年末に行った地上波での再放送と見逃し配信TVerでの一挙配信に加えて、12月8日からはNetflixでも配信を開始。6週連続でNetflix日本「週間TOP10ランキング」入りを達成した勢いのまま、1月19日からNetflixでの配信が日本からアジア太平洋地域に広がったところです。これまでもNetflixで展開されたテレビドラマが再評価されたケースは多く、影響力があるNetflixを通じた海外配信を足掛かりに、各国版リメイクも期待できます。

バカリズム脚本の注目度は実は「ブラッシュアップライフ」に限りません。2017年に原作、脚本、主演を務めた「架空OL日記」(読売テレビ制作)はバカリズムさんがOLになりすまして書いたブログを基にドラマ化したもので、こちらはOLあるあるが詰め込まれています。実力はここでもしっかり評価されて第36回向田邦子賞を受賞、2020年に映画化もされています。

「ブラッシュアップライフ」の海外版タイトルは再起動を意味する「Rebooting」(画像:日本テレビ)

アメリカと契約されたバカリズム脚本

今から10年前の2014年に放送された竹野内豊主演の「素敵な選TAXI」(関西テレビとMMJの共同制作)もバカリズム脚本のドラマの1つです。全話の脚本を手掛けています。過去に遡って選択をやり直すというストーリー展開は「ブラッシュアップライフ」に通じるところがあります。もちろんユーモアに溢れた会話劇も楽しめます。そんなバカリズム味が深い「素敵な選TAXI」がここにきてアメリカ進出の可能性が高くなっているというのです。

関西テレビによれば、アメリカ5大ネットワークの制作部門とバカリズムさんオリジナル脚本使用に向けた契約が交わされ、リメイク化が検討され始めているとのこと。実現すれば、全米で放送されるテレビドラマのクレジットにバカリズムさんの名前が表記されることは確実です。

徹底して日常をユーモアで切り取るバカリズムさんの脚本が評価されているのは、時代に求められている世界観であることも大きそうです。「ブラッシュアップライフ」ではメタ的に人生3周目の主人公が「ブラッシュアップライフ」そのものをドラマ企画する話があり、そのドラマの中の企画会議では「(人生2周目で)不倫を阻止するぐらいじゃ弱い。派手な事件が欲しい」と指摘されるわけですが、「確かにそうかも」と思わせつつ実際の「ブラッシュアップライフ」はそれとは真逆。癒しとユーモアに溢れた平凡の良さが支持されている今の流れに乗っているのです。

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長谷川 朋子 コラムニスト

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はせがわ ともこ / Tomoko Hasegawa

メディア/テレビ業界ジャーナリスト。国内外のドラマ、バラエティ、ドキュメンタリー番組制作事情をテーマに、テレビビジネスの仕組みについて独自の視点で解説した執筆記事多数。最も得意とする分野は番組コンテンツの海外流通ビジネス。フランス・カンヌで開催される世界最大規模の映像コンテンツ見本市MIP現地取材を約10年にわたって重ね、日本人ジャーナリストとしてはこの分野におけるオーソリティとして活動。業界で権威ある「ATP賞テレビグランプリ」の「総務大臣賞」の審査員や、業界セミナー講師、札幌市による行政支援プロジェクトのファシリテーターなども務める。著書は「Netflix戦略と流儀」(中公新書ラクレ)。

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