私家版 差別語辞典 上原善広著

私家版 差別語辞典 上原善広著

路地(部落)に育ち差別の現実を直視してきた著者による自らの体験と取材、差別語の来歴、背景、評価が紹介され、個性的な主張がなされる。「同和」「穢多(えた)」などの路地関連、「めくら」などの心身障害関連、「土方」など職業名、さらに「外人」「支那」など多くの言葉が俎上に載せられるが、人を差別する言葉が苦くて重い歴史を持つことをあらためて知らされる。単なる「辞典」に終わらず、差別関連のルポ数編が挟み込まれていてそれも興味深い。

組織的糾弾に辟易したメディアはお詫びと自主規制、言い換えを続けてきた。だが著者は過剰な自粛には批判的で、どのような文脈や意図で使われたかが重要だと主張している。言葉狩りが行きすぎると、政治的言い換えと事なかれ主義、くぐもった陰湿な差別が生まれるだけで、使って構わない差別語もあるという。欧米の差別語についても知りたくなるのはともかく、差別の本質が深く追究され説得力十分だ。(純)

新潮社 1260円

  

ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 野口悠紀雄「経済最前線の先を見る」
  • おとなたちには、わからない
  • 子育てと介護「ダブルケア」の現実
  • コロナショック、企業の針路
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
なぜ取締役会に出席しない?<br>会社側の苦しい「言い訳」

役員会に出席せず改善の兆しがない取締役は、機関投資家や議決権行使助言会社から厳しい目を向けられています。株主総会招集通知から、取締役・社外監査役の取締役会出席率を独自集計し、欠席の多い人のランキングを作成しました。安易な選任の実態は?