治療1回に水120L必要「透析患者」襲う断水の怖さ 「水は電気とともに医療機関の生命線」と関係者

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日本透析医学会「わが国の慢性透析療法の現況」の集計(2022年12月末)で、34万7474人いるとされる透析患者のうち、圧倒的に多いのが血液透析で約97%(33万6943人)、腹膜透析は約3%(1万531人)だ。ちなみに、腎移植の数は2023年で248(日本臓器移植ネットワークの資料による)にとどまる。

地震など天災は透析のリスク

腎不全になると尿が作られないため、体内にどんどん水分が溜まり呼吸困難に陥ったり、老廃物(尿毒素)が溜まって意識障害が起きたりする。一度始めた透析をやめること、それはすなわち死を意味する。

1月1日に発生した能登半島地震では、断水などのため、透析患者が治療を受けられないという問題が生じた。

血液透析には大量の水が欠かせない。1回の血液透析で120リットル程度の水が必要になる。透析患者が100人いれば12トン。能登半島地震では、石川県の一部医療機関が断水となったため、透析患者を一時的にほかの地域の医療機関で診なければならない事態となった。

今もなお、近県の受け入れ可能施設に移送され、治療を継続している。

同県七尾市にある恵寿総合病院は、外来診療や入院のための病棟は免震構造のおかげで被害はなかったが、水道水の供給が止まった。

航空自衛隊による給水
航空自衛隊による1日15トンの給水を受けた恵寿ローレルクリニック(写真:神野正博理事長提供)

病棟などでは装置で井戸水を濾過することで、4日から外来や手術を再開できたが、同院に付設する透析治療施設、恵寿ローレルクリニックには濾過水を送れず、航空自衛隊による1日15トンの給水が受けられるようになる5日まで、透析治療は中止せざるを得なかった。

血液透析は、週3回病院に通う必要がある。クリニックが休診していた5日間、患者は地震の被害が比較的少なかった金沢市内など、少し離れた病院やクリニックで治療を受けることとなった。

恵寿総合病院を運営する社会医療法人財団董仙会の神野正博理事長は、「医療を継続するためには、手術、分娩、検査、透析などで大量の水を使う。そういった意味で、水は電気とともに医療機関の生命線といえることを、今回、改めて感じた」と話す。

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