前年比5万人増「東京オートサロン」盛況の真意 ここだけで言える「本音」とビジネスチャンス

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同時に、近年顕著になってきた傾向として、ラグジュアリーミニバンやSUVの展示の増加があげられる。「アルファード/ヴェルファイア」は特に人気が高いようだ。

これからは、前席と後席のあいだにパーティションを設けた「レクサスLM」が人気を集めていくだろうか。

レクサスLMショーファーススタディの注目は手の込んだインテリアにある(筆者撮影)
レクサスLMショーファースタディの注目は手の込んだインテリアにある(筆者撮影)

たとえば、TOM'Sがもちこんだ「レクサスLMショーファースタディ」は、日本工芸品のようなプリントレザー張りのシートや、美しく織られたカーペットなどのインテリアが、まさにキラキラと輝くばかりだった。ここにも、付加価値ビジネスが存在している。

そもそも、オートサロンの展示におけるもうひとつの雄が、かつてハイソカーとかVIPカーと呼ばれた大型セダンや大型ミニバンをさらに豪華に仕立てた展示車であることを、改めて思い出させてくれた。

アウトドアやキャンプの提案も一時はよく見られたものの、コロナ後は、市場がやや沈静化している傾向を反映してか、展示数はかつてほど多くなかったようだ。

「かつて」といえば、ボディからはみ出すほど太いタイヤを履かせて、前から見ると、八の字のネガティブキャンバーをつけ、車高を落とし、太いマフラーを装着し……といった、いわゆる街道レーサーが主役だった(私はあの世界、好きです)。

今もその傾向のクルマはあるにはあるが、姉妹イベントともいえる大阪オートメッセほど多くはない。トレンドが少し違うようだ。

国際情報工科自動車大学校による「令和のスーパーシルエットver.Westrern Police」(写真:オートサロン事務局)
国際情報工科自動車大学校による「令和のスーパーシルエットver.Westrern Police」(写真:オートサロン事務局)

本音を堂々といえる貴重な場だから

なにはともあれ、東京オートサロンの楽しさは、キレイゴト抜きの世界にある。豊田章男会長は「敵はカーボンであって、エンジンではない」と喝破して、これからもエンジン開発を続けると宣言していた。

それは決して間違ってはいないのだが、「そんなこと言っているひまがあったらEVを増産してはどうか」などと言われかねないのが、今の世の中。

この人口密度を見れば東京オートサロンの白熱ぶりがわかるだろう(写真:オートサロン事務局)
この人口密度を見れば東京オートサロンの白熱ぶりがわかるだろう(写真:オートサロン事務局)

もちろん、Well to Wheel(油田から車輪まで)といって、部品も組み立ても使う燃料も、すべてカーボンニュートラルを目指すのは、トヨタに限らず、自動車メーカーに共通する目標だ。

でも、「なにより楽しさがなくなったら誰もクルマに乗らなくなっちゃうでしょう」と、本音のようなことを堂々と言える場なのだ。そこがクルマ好きにとってのオートサロンの魅力なのである。

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小川 フミオ モータージャーナリスト

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おがわ ふみお / Fumio Ogawa

慶應義塾大学文学部卒。複数の自動車誌やグルメ誌の編集長を歴任。そのあとフリーランスとして、クルマ、グルメ、デザイン、ホテルなどライフスタイル全般を手がける。寄稿媒体は週刊誌や月刊誌などの雑誌と新聞社やライフスタイル誌のウェブサイト中心。

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