【産業天気図・造船】2006年度もフル操業だが採算は依然厳しい

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2005年の日本の船舶受注量(国土交通省統計)は1259万総トンで、前年比33.9%減と大幅減少となった。韓国も26.6%減(CGTベース)で、世界的に受注はピークを過ぎている。これは受注残が3年分近くに達し、発注側の海運会社や受注側の造船会社が発注・受注を控えているためだ。特に、造船会社では受注量が十分あることから「採算の良い物件があれば取る」という姿勢が浸透している。こうした傾向は06年も続く見通しで、受注は低水準となりそうだ。
 一方、竣工量は豊富な受注残を背景に増加傾向が続いている。ロイド統計によると、世界の竣工量は05年(速報値)で4571万総トン。前年比13.8%増で4年連続増加となった。日本の竣工量も1608万トンで、10.7%増と3年連続増加している。韓国は1755万総トンで18.9%増と大幅に伸び、4年連続増加となった。4年連続で日本を上回り、世界トップを維持している。
 注目されるのは中国の動向だ。規模は小さいものの、急速に拡大しており、05年は596万総トン、27.5%増となった。日本の竣工量に対する比率は2000年の13.7%から05年には37.1%へと急上昇している。
 日本の造船各社の収益動向を見ると、豊富な受注残でフル操業状態ながら、造船不況で競争が厳しく低船価だった時代に受注した船舶がまだ売り上げに立ってくるだけに、各社、06年度も上期/下期を通じて厳しい状況が続く見通しだ。ただ、一時より円高が修正されたことや、05年度に工事損失引当金を計上するなどしたことから、収益均衡圏を想定している社が多い。造船ブームで高船価で受注した船舶が売り上げに立ってくる07年度以降は高水準の利益をあげるようになる、というのが各社の一致した見通しだ。
【田中房弘記者】


(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部

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