同社は、こうしたコメのナイーブな特徴に配慮し、仕入れた玄米を15度以下の環境で保管して鮮度を維持している。それだけではない。精米、包装まで一貫してこの低温環境で管理しているというのだ。
実は、コメは精米時の摩擦熱でも劣化してうま味が落ちる。「精米するとき、摩擦熱で瞬間的に100度近くまで上がるが、当社の環境下ではそれを最大で60度くらいに抑えることができる」と、食品事業部部長の山田次郎氏は話す。
同社の調査では、低温精米と常温精米を比較したところ、前者の方が後者に比べ、食感や甘みに大きく寄与する酵素であるα-アミラーゼ活性が20%高まるという結果も出ている。このように徹底した低温管理で鮮度の維持にこだわるのは、「アイリスだけ」と、山田氏は自信を見せる。
さらに、この鮮度は1年ももつのだが、ここにも業界初の工夫が施されている。袋が、脱酸素剤を同梱した高気密性のラミネート素材でできているのだ。
一般的な米袋は、密閉されているように見えるが、実は小さな穴が開いたポリ袋なので酸素を通してしまう。しかし、これなら外気からも袋の中の空気からも酸化を防いでくれるので、コメのおいしさが長く保たれるのだという。
実はこれ、面白いことに、同社が得意とするペット事業からの応用だそう。「ペットフードの袋は、脱酸素材やラミネート材を使うのが当たり前ですが、米業界では初」(山田氏)。
小分けパックというアイデアもヒット!
そしてもうひとつ、大きな特徴であるのが、冒頭の写真のとおり、小分けパックである点だ。2合パックと3合パックがあるが、一度で使いきれるサイズなので、開封してから劣化させる心配もないし、何より計量しなくていいのがラクである。
キッチン棚などに収まるスリムサイズなので、保管スペースもとらない。ただし、「冷蔵庫に入れたほうがより鮮度は保たれる」(山田氏)そうだ。しかし、仮に冷蔵庫に入れる場合でも、密閉容器やペットボトルに移し替える手間もないし、コンパクトなのでさほど庫内を占領することなく保管できる。
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