「食の安心・安全」への取り組みも、支持を得ている理由のひとつだろう。同社では、すべての入荷米(玄米)に対し、自社検査を実施している。おいしさに関する検査と、安全に関する検査を実施しており、中でも「DNAによる品種の判定はうちだけ。検査頻度も高い」と、山田氏は説明する。
取り扱うコメは東北を中心とした銘柄であるため、原発事故による影響を懸念する消費者もいるかもしれない。だが、放射能検査も、自治体検査に加え、さらに厳しい基準による自社検査を行っているそうだ。
アイリスは宮城県仙台市に本社を置き、プラスチック製品やペット用品をはじめ、最近ではLED照明や調理器具など、さまざまな生活関連商材を扱う会社だ。そんな同社が、なぜコメ事業に乗り出したのだろうか。
きっかけは、東日本大震災
2013年1月、同社の大山健太郎社長と、農業生産法人・舞台ファームの針生信夫代表との出会いから、すべてが始まったという。
東日本大震災以降、「地元企業として何か復興支援を」と考えていた大山社長と、津波で田畑の半分を失い、新たなビジネスモデルを模索していた針生代表。2人は意気投合し、コメの消費拡大と東北のコメ農家支援を目的に、同年4月に舞台アグリイノベーションを設立して精米事業に参入した。そして、70億円を投入し、宮城県亘理町に国内最大規模の工場を設立。ここから、「低温製法」のコメが出荷されている。
最近では、鮮度劣化を防げる包装が評価され、マレーシアの食品卸業からの受注も決まった。まだまだ需要があるとみており、今後も海外での国産米普及に努める方針だという。
「最近、おいしいコメを食べてないなあ」という方や、同社の新たな試みと思いに興味を持たれた方などには、特に単品パックなら気軽に手にとれるので、ぜひ一度、「生鮮米」の味わいを試してみてほしい。コメを主食としてきた日本で生きている幸せを、あらためてかみしめることができるはずだ。
(撮影:田所千代美)
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