認知症?親の家電操作に不安「しっかりして」はNG 「これは年相応なのかな、それとも…… ? 」

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できないことをできると言い張る
加齢とともに、家電製品の使い方を覚えるのが難しくなることがあります。
できないことをできると言い張るときの対応方法
(出所:『認知症心理学の専門家が教える 認知症の人にラクに伝わる言いかえフレーズ』)

目的のために段取りを立てて行動を起こす能力である「遂行機能」が衰えるためです。

認知症になるとさらにその傾向は顕著になります。少しでも長く今まで通りの生活を保つには、小さなひと工夫が大切。

例えば、家電製品の使わないボタンの上にはガムテープを貼るなどして隠します。

よく使うボタンを目立たせたり、ボタンが複数ある場合には、ボタンの横に①→②など順番を示すシールを貼っておいたりするとよいでしょう。

家族が「できない」と決めつけず、見守る姿勢も大切です。

【認知症の人の心の中】
「ボタンがたくさんあって覚えられないけど、できないところを見られたくない!」

「疑い」のまとめ

疑いの段階で重要なのは、不安を取り除いて安心してもらうこと。

記憶があいまいになることで本人は不安を感じていますので、それをあおるような言い方(認知症なんじゃないの?など)には気をつけましょう。

認知症を疑うまとめ
疑いのまとめ(出所:『認知症心理学の専門家が教える 認知症の人にラクに伝わる言いかえフレーズ』)

家族に余裕がなくなってしまうときもあるかもしれませんが、話をさえぎったり、反論・批判したりせず、共感を大切にすることの重要性も覚えておいてくださいね。

認知症心理学の専門家が教える 認知症の人にラクに伝わる言いかえフレーズ (エッセンシャル版ディスカヴァークラシック文庫シリーズ)
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佐藤 眞一 大阪大学名誉教授

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さとう しんいち / Shinichi Sato

1956年東京生まれ。大阪大学名誉教授。大阪府社会福祉事業団体特別顧問。博士(医学)。
早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学後、1999年に埼玉医科大学より博士号授与。明治学院大学心理学部教授、マックスプランク研究所上級客員研究員などを経て、2009年に大阪大学教授に就任し、2022年に定年退職。
著者・共著は『認知症の人の心の中はどうなっているのか?』(光文社新書)、『マンガ 認知症』(ちくま新書)、『認知症心理学の専門家が教える 認知症の人にラクに伝わる言いかえフレーズ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など多数。

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