FRBが2024年の「利下げ」に向けて地ならし インフレ圧力緩和受け利上げを反転する方向に
米金融当局は13日、過去数十年ぶりの急ピッチで進めた利上げを反転する方向にかじを切った。当局のインフレ抑制策はこれまで、リセッション(景気後退)や雇用情勢の深刻な悪化を招くことなく進展を遂げてきた。
パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は同日、物価上昇圧力が再燃した場合、当局として利上げを再開する用意を表明。それでも、議長を含む当局者による最新の四半期経済予測では2024年に複数回の利下げが想定されていることが示された。
連邦公開市場委員会(FOMC)は同日までの2日間の会合で、政策金利を22年ぶりの高水準に3回連続で据え置くことを決めたが、議長は会合後の記者会見で、利下げが議論されたことを明らかにした。
ダウ工業株30種平均は過去最高値を更新
パウエル議長が会見で、投資家の間に広がる24年の利下げ観測を押し返そうとしなかったことで債券相場は上昇し、ダウ工業株30種平均は過去最高値を更新した。
今月1日の時点で利下げ時期を臆測するには「時期尚早」としていた議長だが、会見では「それが視野に入り始めており、話題になっているのは明白だ。今回の会合でも議論した」と述べ、当局者が検討を始めたことを認めた。
当局はフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを5.25-5.5%に据え置くことを全員一致で決めた。他方、最新の四半期経済予測によれば、FOMC参加者が見込む追加利上げは予想中央値で21年3月以来のゼロとなった。
また、来年の利下げ幅の予想中央値は計0.75ポイントと、9月の前回予測の0.5ポイントから拡大した。なお、24年末時点のFF金利は中央値で4.6%と予想されているものの、個々の当局者の見通しには大きなばらつきがある。
LHマイヤー/マネタリー・ポリシー・アナリティクスのエコノミスト、デレク・タン氏はパウエル議長の会見について、利上げ完了のトーンがあったのは確かだと指摘。早期に従来想定よりも大幅な利下げがあるとの市場の臆測に対し、議長らFOMC参加者全員が金利予測分布図(ドット・プロット)を使って押し返す必要性を感じていなかった様子だと分析した。