伊藤園「ボトル缶コーヒー」値上げしても好調の訳 ボスやジョージアなど強豪商品を上回る勢い

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V字復活のきっかけは、コロナ禍で起きた顧客の「嗜好の変化」だ。

前出の相澤氏は、「コロナ禍で、味わいに対する消費者の感度がすごく上がった」と語る。「自分でコーヒー豆を粉にしてドリップする、あるいはコーヒーをアレンジして飲むといった消費者が増えた」(同)

独自の商品開発体制で味を追求

伊藤園はなぜ、消費者の嗜好の変化を捉えることができたのか。その理由は2つある。

1つ目は、タリーズコーヒージャパンとの綿密な関わり合いが、伊藤園の商品開発に生かされていることだ。

一般的に、カフェ事業とコーヒー飲料事業は、別々の会社によって展開されることが多い。

例えば、国内で「スターバックス」のカフェを運営するのはスターバックスコーヒージャパンだが、飲料はサントリー食品インターナショナルが販売している。イギリスの大手カフェチェーン、「コスタコーヒー」のカフェは双日とロイヤルホールディングスの合弁会社が運営するが、飲料の発売元は日本コカ・コーラだ。

一方、タリーズコーヒージャパンは伊藤園の100%子会社ということもあり、カフェ事業と飲料事業が垣根なく連携している。

具体的には、伊藤園が「こういう商品を作りたいんだけど、どんな原料を使えばいいかな」と相談すると、タリーズ側が「アイデアがあるので一緒に立ち会って検討しましょう」と応えるなど、両者が頻繁に議論を交えて商品を開発していく。

「単に、他社のブランドを借りて飲料商品を作っているのではない。(カフェと飲料事業の)活発なコミュニケーションが、商品開発の違い(味の違い)となって表れているのではないか」と、相澤氏は強調する。

伊藤園が嗜好の変化を捉えることができたもう1つの要因は、タリーズコーヒージャパンのバリスタによる徹底的な「監修」だ。

監修といっても、単に伊藤園の商品をタリーズ側がチェックするということではない。タリーズのバリスタが、伊藤園のコーヒー飲料作りにおいて、豆の選定・調達から焙煎に関するノウハウの提供まで、各工程にかかわっている。

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