キシリトールガムは歯にいいと思う人が陥る誤解 思わぬ落とし穴で虫歯になっている可能性も

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確かにキシリトールは白樺やトウモロコシの芯などを原材料にしているので、天然素材が元になっています。

しかし、それからの行程は、加水分解によりキシロースという糖類を抽出し、さらにニッケルを触媒として、高温・高圧状態で水素化するという人工的な方法です。

つまり正確にいうと「キシリトールは天然素材を原材料とし、人工的な方法で作られる甘味料」です。ほかの甘味料でも人工的に(化学合成で)作られる甘味料には、アスパルテームやサッカリン、スクラロースなどがあります。

個人差はあるのですが、キシリトールの摂りすぎ(30〜40g)で、お腹がゆるくなる人がたまにいます。キシリトールは腸で吸収されにくく、腸内のキシリトール濃度を薄めようとして、身体が腸に水分を集めるのでお腹がゴロゴロなったり、ゆるくなったりします。

またキシリトールそのものに虫歯予防能力、虫歯修復能力があるわけではありません。キシリトールを摂取すると、口の中で虫歯の原因となる「酸」が出ないということなのです。

ガムを5分程度噛むと唾液の量が噛む前の10倍近くまで増え、唾液の重炭酸塩などの成分が歯から溶け出たカルシウム(脱灰)を再び取り入れて(再石灰化)、虫歯になるのを防いでくれます。

キシリトールは虫歯の原因を作らないうえに、ガムには唾液作用により歯の修復効果があるので、適切な量でキシリトール入りのガムを噛めば虫歯予防になるというわけです。

糖類が入っていると意味がない

ただしキシリトール配合であっても、そのほかに砂糖や水飴などの酸を作り出す原因となる糖類がガムに含まれていると、虫歯予防にならないので要注意です。

キシリトール ガム
キシリトール配合ガムを食べた後も、歯磨きを忘れずに(写真: shu /PIXTA)

そもそもキシリトールに、砂糖などが虫歯を起こす作用を打ち消す効果があるわけではありません。仮にキシリトールが95%配合されていても砂糖が5%含まれていれば、キシリトールは砂糖が及ぼす悪影響を一切止めることができません。そのため、食後の歯磨きは必須です。

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宮本 日出 日本顎関節学会代議員・専門医・指導医

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みやもと ひずる / Hizuru Miyamoto

1965年、石川県金沢市生まれ。愛知学院大学歯学部卒業後、石川県立中央病院歯科口腔外科に勤務。1994年、豪アデレード大学歯学部で研修し、1996年から同大学歯学部口腔顎顔面外科招待研究員に。2000年から明海大学歯学部の教員に就任。2007年、幸町歯科口腔外科医院を開業。国内外に160篇以上の論文を発表している。著書に「お口からの感染予防」(ギャラクシーブックス)、「レモン水うがいダイエット」(あさ出版)

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