"健康的"フライドポテトブームがやってきた ジャンクではないポテトが増殖中
足止めされたイモたちのほとんどはアメリカのメジャー品種「ラセット・バーバンク。水分が少なめで大きく育ち、凸凹が少ないため、フライドポテトに適しているとされてきた。
ベルギー産が大躍進
この隙に乗じるかのように存在感を増したのが、欧州の肥沃な黒土で栽培される「ビンチェ」という品種。こちらも水分少なめながら小ぶりできめ細かく甘みがあり、黄みが強いのが特徴。コンビニではローソンが、店頭で販売するフライドポテトのイモを17年間使い続けたアメリカ産から、ベルギー産やドイツ産のビンチェなどに切り替えた。商品本部の東條仁美さんいわく、
「カットや皮の有無などを含め試行錯誤を重ねました。品種変更後、売り上げは約3倍に伸びました。コンビニは、基本的には店内で食べられないので、冷めてもおいしいこともポイントでした」
ビンチェに似た特徴を持つドイツ産のアグリアを使用したX型のポテトが好評のミニストップは、時期によって「北海こがね」を使った商品も販売(現在は休止中)。1970年代から北海道で生産されているこの品種も、もっちりなめらかな食感がフライドポテトによく合う。
冒頭のAND THE FRIETはビンチェ、北海こがねのほか、希少な国産有色品種なども扱う。同店PR担当の竹島友美さんは言う。
「いくつかの種類を食べ比べる方もいらっしゃいます。選ぶ楽しみは大事ですね」
男爵イモ農家との出会いから、ホクホクした男爵のみを使用した「100%DANSHAKU(ひゃくぱーせんとだんしゃく)」という専門店も登場。一口にフライドポテトといっても、品種の違いによるバリエーションが豊富になった。
太さやカットも多様化し(上図)、専門店のスタンダードはケンタッキーより太い幅10ミリないし12ミリ。半分に切ったものと網状のワッフルカットでは、同じイモでも食感、塩の付き方や揚がり具合などが異なる。
加えて、「より体にいいものを求める意識の高まり」が本格志向のフライドポテト人気を押し上げていると前出のフードアナリスト石堂さんは言う。
専門店の価格設定は高めで、ドリンクを合わせれば1千円前後。数十分も並ぶことさえあるが、いずれも素材にこだわり、「ジャンクなサイドメニュー」だったフライドポテトを、「安全で安心して食べられるメインメニュー」へと変貌させた。
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(ライター・小林沙友里)
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