ヒミツキチ森学園と葉山町「公教育とオルタナティブスクール」の連携に見た光 子どもたちの育ちを支える共同体のあり方

✎ 1〜 ✎ 17 ✎ 18 ✎ 19 ✎ 最新
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
令和5年度学校基本調査(速報値)によると、日本の小学生の98.3%が公立小学校に通っている。日本全国どこにいても同じ教育が受けられるというよさがある一方、この選択肢の少なさが不登校の増加など、さまざまな問題へとつながっている。そんな中で、ここ日本でもいわゆる公教育といわれる一条校以外で学ぶ子どもたちが少しずつ増えている。教育ジャーナリストの中曽根陽子氏が、神奈川県葉山町にあるオルタナティブスクール、ヒミツキチ森学園を取材した。

オルタナティブスクールと連携して公教育もアップデート

オルタナティブスクールという言葉を知っていますか?

日本では、オルタナティブスクールは、一般的な公立や私立の学校とは異なる「新たな選択肢の学校」という意味で使われることが多く、近年注目が集まっています。

厳密に言うと、オルタナティブスクールもフリースクールの1つですが、一般的にはフリースクールは不登校や引きこもりになった子どもが昼間過ごす居場所の意味合いが強いのに対し、オルタナティブスクールは一条校(学校教育法第一条に定められた学校の総称)ではない、「もう1つの学校」を指す意味で使われることが多いようです。

あえて一条校にはしない選択をした学校といってもいいかもしれません。ここ数年、相次いでオルタナティブスクールが開校し、その存在がクローズアップされることが増えてきました。

今回、その1つ神奈川県葉山町にあるヒミツキチ森学園に行ってきました。

中曽根陽子(なかそね・ようこ)
教育ジャーナリスト/マザークエスト代表
小学館を出産で退職後、女性のネットワークを生かした編集企画会社を発足。「お母さんと子ども達の笑顔のために」をコンセプトに数多くの書籍をプロデュース。その後、数少ないお母さん目線に立つ教育ジャーナリストとして紙媒体からWeb連載まで幅広く執筆。海外の教育視察も行い、偏差値主義の教育からクリエーティブな力を育てる探究型の学びへのシフトを提唱。「子育ては人材育成のプロジェクト」であり、そのキーマンであるお母さんが幸せな子育てを探究する学びの場「マザークエスト」も運営している。著書に『1歩先いく中学受験 成功したいなら「失敗力」を育てなさい』(晶文社)、『子どもがバケる学校を探せ! 中学校選びの新基準』(ダイヤモンド社)、『成功する子は「やりたいこと」を見つけている 子どもの「探究力」の育て方』(青春出版社)などがある

「自分のどまんなかで生きられる愛とギフトの世界」とは

ヒミツキチ森学園は、2020年4月に開校しましたが、ことの始まりは遡ることさらに3年前。運営母体の一般社団法人PLAYFUL代表で学園校長の小林千峰さん(以下、ちほやん)が、幼児教育に携わった経験から、角を取って丸くするような既存の教育に違和感を持ったことから始まりました。

その答えを探そうと訪れたデンマークやオランダで社会や教育のあり方を見てインスパイアされ、日本に帰国する機内で、「学校をつくろう!」と決意したのです。決まっていたのは「自分のどまんなかで生きられる愛とギフトの世界」をつくるというコンセプトだけでした。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事