「ちゃんとしなさい」と叱る親の子ほどできない訳 言葉がけは「ロジカルに」「フルセンテンスで」が基本
「うぜえ」「別に」「関係ないし」など、ロジカルやフルセンテンスにはほど遠い言葉を発する子どもたちをよく見かけます。彼らあるいは彼女らは、相手と話したくないからそのような言葉を使っているのではありません。ボキャブラリーが乏しいためにフルセンテンスで話せないという場合がほとんどです。
「おりこうさんの脳」にボキャブラリーの蓄積がないと、相手に物事をうまく伝えることができません。さらに、前頭葉と間脳・脳幹をつなげる神経回路「こころの脳」も構築されていないので、ロジカルにフルセンテンスで伝えられないのです。伝える言葉を持てないことは、子どもから自信を奪うことです。ひいては、社会で自立する力をも奪ってしまうことになりかねません。
親から発せられる「言葉」は、子どもの脳の発育に大きな影響を与えます。子どもは、脳が完成する18歳までの時間の大半を、家庭で親とともに過ごすからです。毎日の家庭生活の中で、何度も繰り返される「言葉」のやりとりは、子どもの脳育てにとても重要です。無自覚に言葉を発するのではなく、常に意識的に言葉を選び、「ロジカルに」「フルセンテンスで」を心がけましょう。
片づけに「治外法権」を取り入れる
ところで、コウタのお母さんのように、子どもが「部屋を片づけない」ことを悩んでいる親御さんを多くお見受けします。
私たちが提唱する「ペアレンティング・トレーニング」では、「親子がお互いを尊重して協力し合う体制を作る」こと、あくまで家族が共同生活をすることに重きを置いています。つまり、家族の共同生活が円滑ならばそれでいいので、子どもだけが使う子ども部屋が散らかっていることに大きな問題はない、ということになります。
私たちは、部屋の片づけをしていないことで無駄に子どもを叱り飛ばすよりも、いっそのこと、子ども部屋を「治外法権」にすることをおすすめします。「治外法権」というのは、文字通り、親は部屋がどんなに散らかっていようと一切干渉しない、子どもにその采配を任せるということです。また、「子ども部屋の掃除」という名目で、スマホや個人的な手紙などを勝手に見る親がいますが、これもNGです。
治外法権エリアを作るということは、子どもに対する「心配/信頼」の、信頼の割合を増やすことでもあります。