日銀は個人消費について「物価上昇の影響を受けつつも、緩やかなペースで着実に増加している」と判断している。しかし、足元の個人消費の動向は参照するデータによって見え方が大きく異なっていることが、エコノミストの間で注目されている。
具体的には、総務省が作成する全国の約8000~9000世帯をサンプル(標本)として無作為抽出した調査である「家計調査」と、日銀が作成する小売店などのデータを独自に集計した消費活動指数の乖離が目立っている。
日銀は家計調査について「サンプルに偏りがある可能性」や「月々の振れも大きく、個人消費の実勢を把握しにくい」ことを理由に、あまり重視していない。
2つのデータ、どちらに問題があるのか
植田和男総裁も10月の決定会合後の記者会見で「家計調査はちょっと弱いが、その他の消費に関するデータは、おおむね緩やかに改善を続けていることを示唆している。いくつかの消費マインド調査もそんなに悪くないと判断している」と説明した。
しかし、今回に限っては、家計調査が示す消費の弱さを「サンプルの問題」と切り捨てるべきではないと筆者を含むエコノミストは指摘している。むしろ、今回は日銀の消費活動指数のほうが問題がある可能性がある。
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