検査不正後の三菱電機、工場で感じた「残念な点」 鉄道部品大手「再発防止策」は万全なはずだが
それぞれの製品に付けられた札をよく見ると、納入先の企業名が記載されていた。海外の企業名もたくさんあった。「企業名を記事化することはお控えください」と担当者。名前こそ出せないものの、2023年3月時点で伊丹製作所の車両用電機品は33の国と地域で受注実績があり、国内約5.0万両に対して、海外は約3.3万両と公表されている。受注した製品の4割が海外向けということになる。
制御機器製造工場では、顧客から注文を受けてから最初に造った製品は駆動機器と組み合わせるなど実際の車両と同じ状態に近づけて顧客の要求どおりの性能が出せるかという試験を行い、その後の量産品については製品の品質確認を行うという。制御機器製造工場では、検査結果を自動的に記録する装置を導入するなどして恣意的な検査が行われないような対策を講じているとのことだった。
「検査不正」の言葉は一言もなし
続いて、トレインビジョンの製品試験場へと移動した。2人の作業員の手元にあるパソコンのモニターには駅ごとに「停車」「出発」「予告」といった項目が列挙されており、それらを逐一クリックしていた。クリックすると目の前に据えられたトレインビジョンのモニターに映し出される内容が変わる。それが仕様書通り正しく表示されているか動作確認しているのだ。

最後に向かったのは、駆動機器製造工場。試験場ではまず搬入前のチェックを行った後、試験用の治具を取り付け、電流や振動に対する性能試験を行う。新幹線のような高速で走る鉄道車両向けにはダクトから強風を出して駆動機器に当てるなど、実際の走行時と同じような環境を再現して試験を行っていた。駆動機器製造工場では一連の検査不正発覚前から検査の自動化が進められてきたという。


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