マネックス、ドコモと「がっつり」組む深謀遠慮 グループCEOが「祖業」を売った理由を激白

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成長分野としては、引き続きクリプトだと思っている。(子会社である暗号資産交換所の)「コインチェック」も2021年にすごく収益をあげたが、今一生懸命コストを下げて次の時代に備えている状況だ(編集部注:2018年にコインチェックが保有する仮想通貨ネムが不正に外部へ送信され、顧客からの預かり資産が流出する事件が発生した)。ボラティリティが高くリスクもあるが、大きな成長も期待できる。

ただ、安定的に成長するものも持ってないといけない。上場企業として投資家を含めたステークホルダーの皆さんに対して、安定的に成長することを示していきたい。

ーーネット証券ビジネスは、これからどうなっていくのでしょうか。

まだ成長の余地はある。投資信託の販売額は、銀行や野村証券や大和証券などネット証券以外の証券会社が多い。まだまだネット証券が広がってないところがある。成長できる産業だが、ずっとこのままではいつかは縮小してしまう。

1999年8月、マネックス証券の誕生を支援した当時ソニー社長の出井伸之氏と松本大氏(撮影:高橋孫一郎)

新しいことに挑戦するという思いで、私たちはコインチェックを手がけてきた。当社の場合、松本大(会長)が1999年にソニーとともにマネックスを創業して以来、25年間ずっと新しいことにチャレンジしてきた。ただ、数人でやった創業期と今は、会社のステージがまったく違う。これから会社を伸ばすには、いろんな人の力を借りながら一人一人がオーナーのように自分の会社を捉えて、新しいビジネスを作っていくことが重要だ。

 

「祖業であるマネックス証券の株を売るんですか」と、いろんな人から驚きの声を聞いた。だが、私たちの飛躍的な発展とか理念の実現を考えると、絶対に祖業を売ってはいけないことはない。世の中の常識をあんまり気にせずにやっていけるところに、私たちの成長もある。

高橋 玲央 東洋経済 記者

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たかはし れお / Reo Takahashi

名古屋市出身、新聞社勤務を経て2018年10月に東洋経済新報社入社。証券など金融業界を担当。半導体、電子部品、重工業などにも興味。

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