ユナイテッドアローズ、まさかの失速のワケ "セレクトショップの雄"はどこで誤ったのか

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同社の顧客はファッションに敏感なコアファンが多く、特に高額商品には底堅い動きがある。そうした商品は質やデザインを認めたファンがいるため、値上げの影響をそれほど受けなかったとみられる。ただ、今回は値上げ対象をほぼ全品に広げたことで、購入頻度がそれほど高くない一般顧客が去ったようだ。

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ユナイテッドアローズは流行に敏感なコアファンを多く抱える(写真は業績が好調だった2011年頃の売り場)

2015年度の会社側の業績見通しは、売上高が前期比7.9%増の1414億円、営業利益が同3.0%増の116億円と、復活を期す。最重要課題は価格戦略の見直しだ。

前期のような一律の値上げではなく、商品ごとに最適な価格を見極めて展開することが柱になる。価格を上げても支持される商品は、アトリエでしっかり作り込んで価値相応に価格を上げる一方、シャツやカットソーなど買い足し需要の高い商品については実質的に価格を元の水準に戻すことで、顧客を呼び戻したい方針だ。

商品投入の頻度も見直す。従来の6シーズンから、最大8シーズン(梅春、春、初夏、盛夏、晩夏、初秋、秋、冬)に細分化して、一段と店頭での商品鮮度を高める。季節の移り変わりに応じた、売れ筋商品のきめ細かい投入で、売価をできるだけ維持するのが狙いだ。

また、これまでは商品をまとめて生産して原価を抑えていたが、トレンドの変化に即応できず、最終的に値引き販売を増やしていた。今後はトレンド商品のリードタイムを短くし、多少原価が高くなっても、定価販売比率を上げていく戦略に転換するという。

ユニクロ独り勝ちの中で

より大きな背景としては、アパレル業界全体でシーズン途中の値引き販売の増加やセール開始時期の分散化、段階的なセールオフ率(セール時の値引率)の拡大などが進んだ結果、定価に対する顧客の信頼感が低下していることも挙げられる。竹田社長は「半歩先のトレンドをしっかりととらえて、同質化を避けていく。それぞれのブランドカラーに重きを置いてやっていきたい」と意気込む。

ただ、2015年度も粗利率の悪化は避けられない。在庫が相当数残っており、年度前半だけでも、6回の催事イベントを予定している。ネット通販についても、アウトレット通販サイトなどを活用して消化を進める。足元では、消費増税の反動減の影響が一巡したことで4月の既存店売上高がプラスに転じるなど、回復の兆しも見られるものの、在庫状況との関係で、業績が従来の水準に戻っていくにはもう少し時間がかかりそうだ。

ユニクロが独り勝ちといわれるアパレル業界にあって、唯一踏ん張ってきたのがユナイテッドアローズだった。セレクトショップとしての道を切り開いてきた自負もある。「ユニクロは工業品、ユナイテッドアローズはファッション」と評す業界関係者も多く、同社の復活に期待を寄せる声はよく聞かれる。もう一度輝きを取り戻せるか、大きな岐路に立っている。

冨岡 耕 東洋経済 記者

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とみおか こう / Ko Tomioka

重電・電機業界担当。早稲田大学理工学部卒。全国紙の新聞記者を経て東洋経済新報社入社。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などにも所属し、現在は編集局報道部。直近はトヨタを中心に自動車業界を担当していた。

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