正直、主催者側もわれわれラーメン業界に関わる者もどこが日本一になるか結果が出るまでまったく読めなかった。
札幌・博多・喜多方という3大ご当地ラーメンを抑えて山形の「酒田ラーメン」が日本一になったのは意外だと思われるかもしれない。
しかし、実際に酒田のラーメン店を取材してみると、「酒田ラーメン」が日本一になれたその理由が見えてきた。
日本一になった山形県酒田市の「酒田ラーメン」
酒田市は山形県の北西の日本海側に位置し、県内人口第3位の都市である。
「酒田ラーメン」は大正15年に中国出身の店主が支那そば屋を開いたのがルーツ。昭和初期からラーメン店が増え、酒田市麺類食堂組合には一時は30店舗ものお店が加盟していた(現在は16店舗)。
その中のラーメン店の有志で結成されたのが「酒田のラーメンを考える会」だ。
「山形県はラーメン県として有名ですが、県全体だとそば屋のほうが圧倒的に多いです。その中で酒田市はそば屋よりラーメン屋が多いという珍しい街でした。そこで1990年からこの酒田のラーメンを全国に広めようと活動をスタートしました」(「満月」店主・齋藤直さん)
ご当地ラーメンをうたうにあたって必ず議論になるのがその「定義」である。
元来言われてきた「酒田ラーメン」の定義は煮干し、昆布を使った魚介系の醤油スープに自家製麺を合わせたものだったが、これに準ずるお店以外を排除してしまうと広がらず、閉鎖的になってしまう。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら