台湾初の国産潜水艦建造で吹き出た情報漏洩疑惑 「台湾はパートナーになれるのか?」日米で疑問噴出
そんなお祭りムードが冷めやらぬ中、台湾政界を揺るがすニュースが発生した。
事の発端は、潜水艦プロジェクトチーム座長の黄曙光氏がマスコミにこぼしたコメントだった。
台湾でレッドゾーンと呼ばれる機密性が高く独自に開発や技術移転が難しい機器や装備の調達で、ある立法委員(国会議員に相当)が執拗に妨害。自身が推薦する軍需企業が受注に失敗すると資料を中国大使館に渡したと発言し、台湾中に衝撃が走ったのである。
国民党議員が漏洩?
その後、テレビなどのさまざまなメディアで、コメンテーターや立法委員、潜水艦建造に関わったブローカーなどが、連日関連する事件や容疑者を暴露していったのだ。中でも次の3点について人々の注目を集めている。
1つ目は名指しされた委員は誰かという点である。現在、中国国民党(以下、国民党)系の馬立文委員であることが各種メディアで伝えられ、当局の捜査も始まったとされている。
さまざまな暴露情報では、馬委員は外交国防委員会に所属し、これまで潜水艦建造のさまざまな予算審議で待ったをかけてきたとされている。また、委員としてプロジェクト全体の管理監督よりも自らに利益誘導するかのような質問と叱責を繰り返してきたのだった。
そして、とくに問題とされたのが、機密レベルが高いため会議で秘密保持を誓約する書類に、ただ一人署名を拒否した点である。さらに会議中に立法院内の携帯電話で外部と連絡したり、頻繁に会議室を抜け出したりするなど、次々と疑惑が明るみになっている。ちなみにこの外交国防委員会には前国民党主席の江啓臣委員もメンバーでいるが、誓約書類には署名していたのだった。
2つ目は疑惑の渦中にある馬委員が誰に機密を漏らしたかという点である。プロジェクト座長の黄氏は中国大使館に関連情報を渡したとコメントしているが、その後の暴露情報では韓国の駐台代表処だったとされている。この「情報提供」により、韓国側は専門家を引き上げ、さらに彼らを捜査する状況に陥ったと言われているのだ。
そもそも水面下でアメリカの要請を受け、韓国側がわざわざ各種ルートを駆使して派遣した潜水艦に関するエキスパートである。韓国は中国との関係から、台湾と軍事関連の交流を持つことは特にタブーとされている。
今回のプロジェクトでは、専門家らは密命を帯びたスパイのような存在であり、何が起きても政府は一切関知しない約束を交わしているとさえ言われているのだった。
そのような中、馬委員はわざわざ情報を渡しに行ったとされているのだ。韓国側からすれば、国会議員に相当する人物が、わざわざ機密漏洩に関する情報を持ってきたのである。当局に捜査を命じるほかなかったのだ。
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