JR「オフピーク定期」と競合私鉄、どっちが安い? 区間と期間によっては意外なほどの差がつく
10月1日運賃改定の京王とJRオフピーク定期の差はどうか。これは比較してみるとかなりインパクトのある結果となった。
まずは井の頭線と競合する渋谷―吉祥寺間。もともとJRのほうが安かったが、オフピーク定期の安さと京王の運賃値上げにより、従来は6カ月定期で6600円程度の差だったのが、最大1万6630円に拡大。京王の定期代の3分の2でJRオフピーク定期が買えてしまう。3カ月定期でも約7000円もの差があり、オフピーク定期なら京王の7割程度の値段で買える。
<京王(改定後)>1カ月:8610円 3カ月:2万4540円 6カ月:4万6500円
<JR通常>1カ月:6950円 3カ月:1万9810円 6カ月:3万3480円
<JRオフピーク>1カ月:6200円 3カ月:1万7670円 6カ月:2万9870円
新宿―八王子間は通常の定期券だと1カ月、3カ月についてはJRのほうが高かったが、京王の値上げによってすべての期間でJRのほうが安くなる。オフピーク定期との比較だともともとJRが安く、6カ月定期では実に約1万8000円差と圧倒的だ。
また、新宿―高尾間はすべての期間でJRのほうが高かったが、こちらは6カ月のみ約9000円差でJRオフピーク定期のほうが安くなる。同区間の値上げ前の京王6カ月定期は7万4250円、JRの通常の定期は8万3160円だったのが、値上げ後は京王が8万2680円、JRオフピーク定期は7万3970円なので、ほぼ逆転した格好だ。
<京王(改定後)>1カ月:1万5310円 3カ月:4万3640円 6カ月:8万2680円
<JR通常>1カ月:1万4970円 3カ月:4万2660円 6カ月:7万1950円
<JRオフピーク>1カ月:1万3320円 3カ月:3万7960円 6カ月:6万4020円
<京王(改定後)>1カ月:1万5310円 3カ月:4万3640円 6カ月:8万2680円
<JR通常>1カ月:1万7310円 3カ月:4万9330円 6カ月:8万3160円
<JRオフピーク>1カ月:1万5400円 3カ月:4万3870円 6カ月:7万3970円
「安さ」でオフピーク通勤は広がるか
西武新宿線とJRも圧倒的な差がある。新宿―拝島間は、定期券の場合はもともとJRのほうが安く、西武とJRの通常の通勤定期6カ月で比較しても約2万2000円の差があったが、JRオフピーク定期だと約3万円の差だ! 当然、もっと短い期間でも無視できない差となっており、1カ月だと約4000円、3カ月だと約1万2000円の差でJRオフピーク定期のほうが安い。いくら競合区間だからといってここまで安くしなくても……と思ってしまうほどだ。青梅線・中央線利用者は運賃面ではかなりの恩恵を受けているということでもある。
<西武>1カ月:1万7140円 3カ月:4万8850円 6カ月:9万2560円
<JR通常>1カ月:1万4640円 3カ月:4万1720円 6カ月:7万0350円
<JRオフピーク>1カ月:1万3030円 3カ月:3万7120円 6カ月:6万2600円
いかがだったであろうか。オフピーク定期だと、区間によっては4割以上の差があったり、金額にして約3万円も違ったりすることに驚いた方も多いのではないか。
競合路線の旅客に運賃の安さを訴求して移ってもらえれば、JRにとってはピークシフトが進むだけでなく増収になるし、客を奪われた競合鉄道会社もオフピーク定期などの導入を検討することになれば、さらに通勤時間の分散が進むだろう。JR東日本の深澤社長も、オフピーク通勤は「多くの鉄道会社が参画すればより効果は大きくなる」と言っているが、こうしたやり方で他社を牽引していくのも一つの手ではないだろうか。
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