(第67回)2012年度新卒採用、旧帝大・早慶クラス【理系】学生の人気企業ランキング(総合編)

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●専攻を反映した志望企業だが、ミスマッチがある

 男女の差は少なかったが、学科別ではどうだろうか。こちらには当然のことながら大きな違いがある。
図表3:専攻別理系人気ランキングTOP30

 電気・電子系では、ソニー、東芝、パナソニックから始まり、総合電機・家電、エネルギー、通信の企業が志望の上位を占めている。トヨタ自動車6位、三菱重工業10位、富士フイルム12位、本田技研工業16位などもあるが、全体としては専攻を反映している。化学・素材系はほとんどなく、富士フイルム以外では、旭硝子20位、旭化成グループ42位である。

 機械系では、トップのトヨタ自動車から始まり、自動車、機械、鉄鋼、エネルギーが目立つ。総合電機も人気があり、ソニー、パナソニックは3位と4位、東芝8位、三菱電機11位、日立12位だが、電気・電子系に比べると順位は低い。化学・素材系企業は電気・電子系と同じく順位が低く、旭硝子17位、富士フイルム24位、旭化成グループ41位だ。

 化学系になると様相が一変する。トップの旭化成グループから化学、ガラス、繊維、石油、医薬品、化粧品、ゴム、食品メーカーがずらりと並んでいる。20位でようやく新日本製鉄が登場し、20位以下にエネルギー、総合電機が並んでいるが、まばらである。自動車も振るわず、トヨタ自動車でさえ27位だ。

 情報・通信系では、トップのNTTデータをはじめ、NTTドコモ3位、NTTコミュニケーションズ5位、NTT10位、NTT東日本19位と主要なNTTグループが軒並み上位に顔を出している。ソニー4位、パナソニック6位、東芝8位といった総合電機も強い。マイクロソフトが9位、グーグルが12位に入っている。シンクタンクも人気だ。野村総合研究所が2位に入ったほか、三菱総合研究所が28位となった。

 調査結果を見て思うのは、専攻のミスマッチがあるのではないかということだ。電気・電子系と機械系で人気のない化学・素材産業は装置産業。巨大な製造設備を電気エネルギーで動かしている。ところが志望するのは化学系学生だ。
 逆に総合電機でも自動車でも、キーテクノロジーは次世代革新電池だ。化学系人材が必要だが、人気が低い。

●文系とまったく違う志望理由

図表4:理系志望理由ランキング
※志望企業1社につき、志望理由を21項目から1項目のみ選択

 志望理由を見ると、すぐに気づくのは文系と理系の間の大きな違いである。前々回に紹介したが、文系学生の志望動機のトップは25.2%が「志望している業種である」。他の「社風がいい」「製品・サービスが優れている」「海外で活躍できる」「人事・社員が魅力的」「安定している」「経営者・ビジョンに共感」のいずれも10%に達していない。そして「専攻が活かせる」に至っては4.5%しかいない。つまり自分の専門能力ではなく、行きたい業種、入りたい企業という観点に立っているのが文系だ。

 理系はまったく違う。文系ではほとんど支持されていない「専攻が活かせる」が圧倒的なトップで20.4%。続いて「志望している業種である」(15.5%)、「研究開発がしっかりしている」(13.1%)が続く。そして「製品・サービスが優れている」「安定している」「社風がいい」が7%台だ。
 「専攻が活かせる」「志望している業種である」「研究開発がしっかりしている」「製品・サービスが優れている」は関連しているから、理系学生は自分の専門性を重視して就職しようとしていることがわかる。
 また理系では「女性が積極的に活躍できる」はゼロ評価に近い。女性の活躍を否定しているのではなく、事務職では女性の活躍を強調する必要があるが、技術職ではもともとその必要がないからだろう。

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