「逆さ地図」で見る、中国にとって邪魔な日本

強引に海を渡ろうとする中国の真意

日本は経済的にも巨大で、最先端のハイテク兵器を大量に所有し、数は少ないながらも高度な訓練が行き届いた自衛隊が存在する。海洋に進出しようとする中国にとっては実にうっとうしく、邪魔な存在に見えるに違いない。

日本人からすれば自由で世界に連なる海だが、中国からすれば日本があるために周辺の海が自由に使えないのだ。このように地図の見方を逆にすると、まるで違った現実が映し出される。

「大陸国家」中国の変貌

実はこの「逆さ地図」から見えてくる現実に、中国が気づいたのは比較的最近のことである。

中国の西の端はヒマラヤ山脈を挟んでインドと国境を接し、北に向かってアフガニスタン、タジキスタン、キルギス、カザフスタン、ここから東に向かってはロシア、モンゴル、北朝鮮との間に国境線が走っている。

中国では、秦の始皇帝が漢民族の国家を創設して以来、北方の騎馬民族の侵入をいかに防ぐかが民族存亡の要であった。中国の歴史は大陸内部の土地争奪戦が主要な要素であり、三国志をはじめ中国の歴史記述には、海のことがほとんど出てこない。

このように大陸内部でのせめぎ合いを繰り返している国を、地政学では「大陸国家=ランドパワー」と呼ぶ。中国は歴史的に北方との闘いに関心を集中させており、海への関心はほとんどなかったと言って過言でない。

これが劇的に変化したのが、1840年から2年間続いた「アヘン戦争」だ。アジア各地のほとんどを植民地にしてしまったイギリスが、広大な中国大陸に目をつけ、支配しようとした。その手始めに植民地のインドで採れたアヘンを、当時の清国に売りつけようとして「アヘン戦争」になった。その結果、清国は香港島をイギリスに奪われ、次いでその対岸にある九龍半島もイギリスの植民地として割譲させられた。

このことが、中国人の心の中に屈辱の歴史として刻み込まれ、海洋から攻め込んで来る勢力に敵愾心を持つようになったのだ。その後、1894年から1895年にかけて起きた朝鮮半島の覇権をめぐる日本との「日清戦争」にも敗れ、台湾を日本に割譲した。

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