ゲームセンターが「復活」を遂げた意外な背景 アニメブーム追い風にプライズゲームが絶好調

拡大
縮小

拡大するプライズゲームとは対照的に、アーケードゲームは音楽ゲームなど一部のジャンルを除き縮小傾向だ。とくにオンラインコンテンツの普及の影響は無視できない。一方で代わりに台頭しつつあるのが、リアルならではの体験ができるエンターテインメントだ。

例えば2022年5月にオープンしたGiGO 池袋3号館の7階にある「fanfancy+ in GiGO」は、「推しとのデート」をコンセプトにした店舗だ。そこではアクリルフレームなど自分の“推し”を彩るグッズを販売するほか、カフェスペースもあり、推しとの写真撮影もできる。

別フロアにあるプライズゲームでぬいぐるみを獲得し、推し活ショップでそれを彩るグッズを買うなどといったシナジーもあり、売り上げは好調という。2023年7月には、原宿の竹下通りに2店舗目となる推し活専門ショップをオープンした。

二宮社長は「ゲームセンターを増やすと同時に、従来とは異なる業態も併設して増やしていく。そこから切り出して、新業態だけ出店するような事例も十分あり得る」と意気込む。

1000円で楽しむ「お手軽」遊園地

タイトーが新宿南口の店舗などで運営している「くらやみ遊園地」は、謎解きやサウンドホラーなどが楽しめる。プレイ時間は15〜25分、料金は1000〜1500円と、気軽に遊べるのが特徴だ。

くらやみ遊園地 新宿南口ゲームワールド店
「くらやみ遊園地 新宿南口ゲームワールド店」で遊べるサウンドホラー(記者撮影)

こちらも「くらやみ遊園地」に寄った後や待ち時間にプライズゲームで遊ぶなどといったシナジーが大きく、これまでゲームセンターに来店しなかったような新たな顧客層の開拓につながっているという。

「しっかりユーザーがついているアミューズメントはそのまま突き進んでいけばいいと思うが、なかなか対応できないところは進化する必要がある。今後はより先にあるユーザーのニーズをつかんで変化しなければならない」(岩木社長)

コロナ禍を経て、意外な奮闘をみせるアミューズメント業界。リアルならではの遊びの場は、形を変えながら進化していきそうだ。

武山 隼大 東洋経済 記者

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たけやま はやた / Hayata Takeyama

岐阜県出身。東京外国語大学国際社会学部モンゴル語専攻卒。在学中に西モンゴル・ホブド大学に留学。2021年東洋経済新報社に入社し、現在ゲーム・玩具業界を担当。

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