ゲームセンターが「復活」を遂げた意外な背景 アニメブーム追い風にプライズゲームが絶好調
プライズゲームの景品のほとんどは、企画段階から景品用として制作されるオリジナル商品だ(風俗営業法により、景品の上限価格は1000円と規定されている)。
昨今は、自分の好きなアニメや推しのキャラクターの景品情報が発表されると、SNS上で盛り上がる傾向が拡大。YouTuberらインフルエンサーによる関連動画のアップも拡散に拍車をかけ、アミューズメント施設へ行くインセンティブが以前に増して強くなっているのだ。
プライズゲーム運営のカギは、店舗がある地域の特性やアニメの流行などを見極めて、いかに最適なラインナップをそろえるかという点に尽きる。
例えばショッピングモールなどはファミリー層のようなライトな顧客が中心となるため、大型のぬいぐるみやお菓子、雑貨などの景品が多い一方、路面店ではコアな顧客層も訪れることから、人気アニメや漫画のフィギュア、ぬいぐるみなどが多い。
タイトーの岩木克彦社長は「プライズゲームは世の中のニーズに迅速に対応できるという特徴がある。世の中の流行りに合わせてゲーム機器を急に変えることは難しいが、プライズは瞬時に変えることができる」と語る。
自宅から遊べるクレーンゲームも活況
プライズゲームの楽しみ方やプレー方法自体も多様化している。
GiGOは2022年に、サブスクリプションサービス「プライズパス」を開始した。月額500円の会費を支払えば、毎月1000円分のプライズゲーム用のサービス券を獲得することができる。「時間つぶし」のために訪れる客も多いアミューズメント施設だが、サブスク導入によって来店動機が明確化され、加入者の来店頻度は加入前と比べ1.2倍に増えたという。
また、各社が取り組みを本格化させているのが、自宅でも遊べるオンラインクレーンゲーム。スマホアプリなどから実在するクレーンを遠隔操作し、獲得した景品は郵送などで受け取れる仕組みだ。
タイトーが2017年から展開を始めた「タイトーオンラインクレーン」は、コロナ禍が明けて以降も好調が続く。オンラインクレーンゲームは硬貨ではなくポイントでプレイする仕様だが、タイトーはタイムサービスで消費ポイントを一時的に少なくしたり、消費ポイントは増えるが景品が取りやすくなるキャンペーンを投入したりしている。
このようなプレー方法の多様化を実店舗でも取り入れていきたいという。「限定の景品、専用機械、運営と、オンラインクレーンゲームには実店舗で培ったノウハウのすべてが詰まっている。総合的に事業を行うわれわれの強みを生かすことができた」(岩木社長)。
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