2つの「Apple Watch」に搭載された注目の新機能 25%電力消費を抑え、「ダブルタップ」に初対応

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そうした取り組みの中で、2023年9月に発売するApple Watchから、100%カーボンニュートラルを実現することになった。今回の新モデル、Apple Watch Series 9(アルミニウムモデル)とApple Watch Ultra 2だけでなく、2022年に発売された既存の製品であるApple Watch SEについても、今年リニューアルされたバンド「スポーツループ」と組み合わせることで、カーボンニュートラルの実現となった。

カーボンニュートラル化の立役者は日本企業

スポーツループなどのナイロン系バンドは、日本の福井県にある井上リボン工業で製造されており、2022年12月にアップルのティム・クックCEOも視察に訪れていた。同社は1948年に創業し、細幅織物の技術で定評のある企業だ。

福井県の井上リボン工業で作られるApple Watch向けバンド。2022年12月にティム・クックCEOが視察した(写真:Apple)

スポーツアパレルなどを中心に織物を提供してきたが、2016年からは、Apple Watch向けにウーブンナイロンバンドの供給を開始した。実に4年間もの準備期間と、アップルとの技術的なイノベーションを経て、織物の常識を超え、季節にとらわれず高い精度のバンド製造を実現させた。

新しいカラーリングとなったトレイルループバンドも、カーボンニュートラルを達成しているバンドだ(筆者撮影)

2023年モデルのApple Watch Ultraにも、トレイルループとアルパインループの新色を提供している。前者は一体成形で伸びにくい織物、後者は伸縮性のある織物と、異なる特性も見事に作り分け、かつデザイン性も高く、Apple Watchの楽しみを広げているのだ。

こうした企業も、100%再生可能エネルギーでの操業を実施し、また調達する材料の環境を負荷を下げ、Apple Watchのカーボンニュートラル化に貢献している。ちなみに、スポーツループには、廃棄された漁業用の網を含む82%のリサイクル材料が使われている。

アップルは、アクセサリーからレザーを撤廃する決定を2023年9月のイベントで明らかにした。

これまでラインナップされてきたレザーのiPhoneケースやApple Watchバンドは姿を消し、代わりにFineWovenという、68%の廃棄されたポリエステルを含むナイロンで織られた生地が用いられている。レザーに比べて大幅な環境負荷低減を実現している。

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