ネット生保の先駆、ライフネット苦戦の理由

出口治明会長、忸怩たる思いを率直に語る

ここまでの失速はライフネットにとっても予想外だったのだろう。2013年5月に公表した中期計画では、2015年度の経常収益150億円を目標に掲げていたが、2014年11月には95億円へと大幅減額した。

実はオリックス生命保険などは代理店チャネルと同じ多種多様な商品をネットでも提供している。一方、ネット直販にこだわるライフネットにとっては、商品の絞り込みとわかりやすさは生命線だ。

ライバルの商品開発担当者は、これが「商品開発の足かせになっている可能性がある」と指摘する。特徴ある商品が続々投入され、ライフネットのターゲットである、自分で情報収集する顧客にとっても、シンプルが売りの商品は魅力が低下しているのではないかとの見立てだ。

KDDIに求めた支援

ライフネット生命保険の"広告塔"としてメディアへの登場回数も多い出口治明会長(撮影:梅谷秀司)

そこでライフネットは2014年12月に来店型保険ショップ最大手の「ほけんの窓口グループ」と代理店契約を締結した。出口会長は「対面で相談したいと意識が変わっていることは事実。手をこまぬいていてはダメ」と、対面販売大手との提携に踏み込んだ。

一方、逆境の中で発表されたKDDIとの提携は、新契約の持ち直しに一定の効果をもたらすとの見方が多い。信用補完に加え、課題としていたスマートフォン対応でも、これ以上の相手はないといえる。KDDIの田中孝司社長も「金融に力を入れる当社に声をかけていただいた。ウィン・ウィンの関係を作っていける」と歓迎する。

ただ、本格的な成長軌道に復帰するには、自助努力で商品やサービスの品質を飛躍的に向上させる以外にない。

出口会長は「頑張って池を大きくしようとしたけれど、できていないことには忸怩たる思いがある」と明かした。

業界で初めて手数料など保険料の内訳を開示したりと、ライフネットが生保の既存秩序に風穴を開けてきた点は、高く評価されるべきだ。その志をいかにビジネスの成功に結び付けられるか。ネット生保のパイオニアの真価が試されている。

「週刊東洋経済」2015年5月23日号<18日発売>「核心リポート02」を転載)

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