岸田首相「自前人事」を封じた麻生氏の"3頭体制" 政権安定優先で"茂木外し"不発の舞台裏

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今回の新内閣は、鈴木俊一財務相、松野官房長官、河野太郎デジタル相、高市早苗経済安全保障担当相、西村康稔経済産業相、斉藤鉄夫国土交通相の主要閣僚6氏が留任。初入閣は小泉龍司法相ら11人で、再入閣は2人だった。

その中で岸田首相が目玉人事とアピールしたのが過去最多タイとなる5人女性閣僚起用。留任の高市氏と再入閣の上川陽子外相に加え、土屋品子復興相、加藤鮎子子ども政策相、自見英子地方創生相(参院)という布陣で、小渕党選対委員長も含めると党・内閣で6人の女性が登用された。

そこで政界が注目したのが、小渕氏の党4役入りだ。茂木派に強い影響力を持ち「参院のドン」と呼ばれた青木幹雄元官房長官(6月に死去)の強い「遺志」が背景にあるとみられている。さらに、安倍派の“仕切り役”を自任する森喜朗元首相もそれを後押ししたことが、岸田首相の決断につながった形だ。

「茂木派分断」狙った小渕氏の選対委員長起用

故青木氏は小渕恵三内閣で官房長官を務め、小渕氏の急死で地盤を継いだ優子氏を「娘のように可愛がってきた」(茂木派若手)とされる一方、死去する直前まで茂木氏を要職から外すよう主張していた。これを活用したのが岸田首相で、「ポスト岸田」への野心をにじませる茂木氏と同じ党四役に小渕氏を起用することで、「茂木氏を牽制するとともに茂木派の分断を狙った強かな人事」(自民長老)との見方が少なくない。

ただ、小渕氏の要職起用には危うさも付きまとう。政治資金問題で2014年に経済産業相を辞任したが、証拠となるパソコンをドリルで壊したことで「ドリル優子」と揶揄された過去があるからだ。小渕氏は13日の就任会見で涙をこらえながら「忘れることのない心の傷」と悔悟の弁を繰り返したが、岡田克也・立憲民主党幹事長が12日の記者会見で、小渕氏について「説明が十分だとは思っていない」と指摘したように、今後も野党やメディアからの追及は避けられそうもない。

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