不正報道で揺れる「ネクステージ社長」が激白 営業の会社を180度変えるために私は辞任する
――9月6日に文春オンラインで、ビッグモーターと「同様の不正が横行している疑いがある」と報じられました。文春の質問状を受ける形で、自動車保険に関して不正行為があったことを9月1日のリリースで認めています。
確かにいくつかの不正事案(顧客に保険への加入を条件に車の値引きを提案、他人名義での保険契約)があったことは事実で、リリースで開示した通りだ。そうしたことが問題ではないとは思っていない。が、判明した事案については対処や処分を行い、保険会社などへの報告もしている。
――タイヤのパンク時に無償(工賃は必要)で新品タイヤに交換する「タイヤ保証」を悪用した疑惑が指摘されています。
まず、タイヤ保証は保険ではない。不正にパンクさせて交換した場合、不利益を被るのは保証を委託している取引先と当社自身となる。そのため、会社として行うメリットはまったくない。
タイヤに釘を刺して故意にパンクさせるような行為は会社として認識したことはない。一方で、パンクさせれば無料で新品に交換できるといったセールストークがあったことは2018年10月に把握している。当時はこうしたセールストークは想定していなかったため、禁止事項として明記していなかったが、以降は禁止事項としている。
また、顧客からひび割れたタイヤで保証の利用を求められた際、社員が(タイヤの)横にボルトをおいた写真を撮って保証の申請をしたケースがあり、保証する、しないで問題になったという記録が残っている。この案件は対象社員を降格処分とし、保証会社には報告し、当社で費用を負担した。
タイヤ保証によって数千円の工賃は入るが当社にメリットはない。社員にとっても同様だ。写真を撮る、申請する、時には代車を用意するといった手間を考えると、従業員がやりたがる仕事ではい。
ノルマではなく、KPIや昇格の目安
――しかし、現にタイヤ保証で問題が起きています。社員にとって手間がかかるとしても、顧客との関係を良好に保ちたいといったインセンティブが働いたのではありませんか。
消耗品であるタイヤは(車両)保険で効かない。パンクに対する不安で顧客がお困りだということで、保証会社と組んでタイヤ保証を普及してきた。しかし、昨今のニュースによる風評被害が非常に大きいため、昨日(9月9日)からタイヤ保証を停止している。このことによるクレームを何件かいただいており大変申し訳ないが、苦渋の決断の停止だ。
――厳しいノルマの存在が社員に不正に手を染めさせる原因になっているのでは。
車両販売や買い取り、保険契約、タイヤ保証などすべてにおいてノルマはない。ただし、KPIとしては設定しており、昇格基準の1つの目安には含まれている。