不正報道で揺れる「ネクステージ社長」が激白 営業の会社を180度変えるために私は辞任する

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――不正や不適切な事案とは主に何なのでしょう。保険の不正ですか。

過去に他人名義での保険契約はあった。把握したものはその都度、保険会社に報告しており、処分も受けている。車両の買い取り価格についてもクレームがある。買い取り台数からいくとわずかな比率だが、確かにある。

――営業主体の会社であれば、インセンティブこそが営業力の源泉という側面はあります。インセンティブをなくすと営業力が落ちませんか。

営業が一生懸命販売するようにインセンティブで釣っているという捉え方はできる。その一生懸命が強引な販売や買い取りといった悪い方向に出ることもある。その原因にインセンティブがあることは否定できない。

インセンティブをなくすと営業力が落ちる可能性は確かにある。一部の社員からは反対の声もある。インセンティブを廃止すると(手当が減るため)辞める社員もいるだろう。しかし、インセンティブを廃止することで働きやすくなる、よりホワイトになる。それを支持する社員もいる。

顧客にとってもプラスになると考えている。強引な接客がなくなることでトータルでは顧客数を増やしていけると考えている。

当社に移って以来、営業の会社からオペレーションの会社に変わることを目指してきた。しかし、舵の切り方が十分ではなかった。

文春の報道は関係ない

――企業風土の抜本的な改革になります。自ら改革を主導するべきではありませんか。「文春砲」を受けて逃げたようなイメージがつきませんか。

文春砲は関係ない。彼らが報じているのは対応済み、報告済みの案件ばかりだ。ただ、そのように受け取る人がいるだろうし、それは気にしない。文春報道後に業績に悪影響は出ていない。

むしろ、昨日(9月10日)の東洋経済の取材(辞任発表の前日、名古屋市内の本社で別途取材を実施)を受けて、ノルマじゃない、不正はわずかだからよい、といった自分たちの論理が間違っていると気がついた。インセンティブ廃止という大きな改革をするにはどうすべきかが一番重要だった。

残ってやることも考えた。そうすべきだという声もあった。しかし、新しい経営にしないとビッグモーターと同じと言われる。

営業力ではなく、豊富なアイテムとアイテムの質を生かしたアドバイザー的な販売に変わる。インセンティブをなくし、契約も厳密にやるようにシステム化を徹底する。営業の会社を180度変える。このメッセージを社内外にきちんと伝えるために私が辞めるほうがいい。

世の中の変化を考えると、インセンティブを廃止して強引な営業をなくする方針が正しい。幸い車両在庫は日本一だ。変革をすることで当社が成長していけるし、中古車業界全体が変わっていけると考えている。

創業者でもある広田靖治会長
創業者でもある広田靖治会長が社長も兼務する体制に(画像:ネクステージのホームページから)

――辞任後に顧問に就いたり、グループ会社に残ることはありますか。

完全に退社する。関係会社の役員も辞任する。取引先への説明など残務整理が終われば退社する。

実は、東洋経済では浜脇氏が辞任する前日、9月10日にも単独インタビューを行っていた。以下、そのやりとりを掲載する。
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