元テレ東Pの「佐久間宣行」が支持され続ける背景 ネトフリや地上波での新番組も手がけている

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また佐久間は、そうした出演者の舞台によく足を運ぶ。実際、「キス我慢選手権」で活躍した岩井秀人が主宰する劇団「ハイバイ」の公演(2013年、「て」の再演)を観に行った折、筆者は佐久間の隣席に座ったことがある。「忙しいはずなのに、本当に好きなんだな」と感服したものだ。

2019年からは『佐久間宣行のオールナイトニッポン0(ZERO)』(ニッポン放送)がスタート。かねて深夜ラジオのヘビーリスナーだった佐久間が、ラジオパーソナリティーとしても活躍し始めた。

裏方の人間が表舞台に立つべきでないと考える者も少なからずいるだろう。しかし、テレビマンのタレント化は今に始まった話ではない。1980年代には『オレたちひょうきん族』(フジテレビ系)のディレクター5人によるユニット“ひょうきんディレクターズ”がレコードデビューを果たし、そのうちの1人である三宅恵介が同番組の人気コーナー「ひょうきん懺悔室」に牧師役で出演していたものだ。

その後も、コメンテーターやタレントとして活躍するテリー伊藤、テレビ朝日の加地倫三、TBSの藤井健太郎など、テレビマンの顔が見えることで番組人気を後押しする流れは途絶えておらず、この文脈の中で今もっとも旬なのが佐久間だという印象が強い。

あえて違いを挙げるなら、バラエティーが「やらせ」だと叩かれる時代に、本音やリアルな感情でトークする『あちこちオードリー』を立ち上げるなど、“深夜ラジオに通ずるセンス”を打ち出したことで佐久間の発言に対する信頼度が増したことだろう。いずれにしろ、今もっとも発信力、影響力のある著名人の1人となった。

時代の潮流を読みながらつねに情報をアップデートし続け、出演者やスタッフをチームとして捉え新たなプロジェクトに挑む。その姿勢こそ、佐久間が支持され続けるゆえんだと感じてならない。

フリーランスになった深い理由

今年3月に放送された『久保みねヒャダ こじらせナイト』(フジテレビ系・1月29日に開催された「久保みねヒャダこじらせライブ」の一部)の中で、佐久間はフリーランスになった理由の1つをこう語っていた。

「僕、深夜番組をベースにテレ東でやってたから、一緒に働いてるスタッフにそんなにギャラ払えてないんですよ。で、みんな40超えてきたから、『自分の仕事だけボランティアみたいにやってもらうの悪いな』って気持ちもあったんで。

なら、そのままみんなこのチームを外に連れてって、ギャラもっと払いたいって気持ちもあったから。そういう意味で言うと、(筆者注:有料配信の)『インシデンツ』とか『トークサバイバー!』で、テレ東の何倍もギャラ払えた時は嬉しかったです」

テレビ業界ならずとも、組織のリーダーとして魅力的な言葉ではないだろうか。

鈴木 旭 ライター/お笑い研究家

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Akira Suzuki

2001年から東京を拠点にエモーショナル・ハードコア/ポストロックバンドのギターとして3年半活動。脱退後、制作会社で放送作家、個人で芸人コンビとの合同コント制作、トークライブのサポート、ネットラジオの構成・編集などの経験を経てライターに転向。現在、『withnews』『文春オンライン』『現代ビジネス』『FRIDAYデジタル』といったウェブ媒体、『週刊プレイボーイ』(集英社)などの紙媒体で記事執筆中。著書に著名人6名のインタビュー、番組スタッフの声、独自の考察をまとめた『志村けん論』(朝日新聞出版)がある。

 

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