土俵際の資生堂、24年に魚谷会長が「退任表明」 創業家の福原義春元社長逝去で迎える転換点

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他方、資生堂は中期経営戦略で、2025年までにコア営業利益率を12%まで高めるという意欲的な目標を掲げている。だが、2023年上半期時点のコア営業利益率は5.6%にとどまっている。

目標達成のためには、屋台骨である国内事業の回復が不可欠。そこで、2022年度に130億円の赤字だった日本事業のコア営業利益を、2025年に500億円へV字回復させると豪語している。

一方、業績回復のためには「国内事業での大規模リストラは必須」と佐藤氏とは別のアナリストは述べ、「これまで国内の改革に手をつけてこなかった魚谷氏がリストラと同時に辞めるほうが(責任が明確化され)きれいではないか」とまで指摘する。

痛みを伴う改革が求められる

創業家出身で1987年から1997年まで社長を務めた福原義春名誉会長(写真は2010年、撮影:梅谷秀司)

魚谷氏が資生堂を急激に成長させたことは事実だが、その基盤を整えたのは8月30日に逝去した福原名誉会長にほかならない。

福原氏は外国部長時代には、化粧品の本場であるフランスでの事業開始や中国進出を推し進めた。現在、資生堂の海外売上比率は7割を超えている。

また、化粧品専門店への押し込み販売などでたまっていた在庫300億円を社長就任直後に処理した。「在庫処理は創業家出身の社長だからこそできたこと」。同氏と仕事をしていたOB幹部はそう振り返る。業績には直結しないことでも、資生堂にとって必要なことは断行した。

今後、資生堂が成長していくために求められるのは、福原氏が行ったような痛みを伴う改革である。魚谷会長が舵取りをしてきた資生堂は土俵際まで追い込まれている。

星出 遼平 東洋経済 記者

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ほしで・りょうへい / Ryohei Hoshide

ホテル・航空・旅行代理店など観光業界の記者。日用品・化粧品・ドラッグストア・薬局の取材を経て、現担当に。最近の趣味はマラソンと都内ホテルのレストランを巡ること。

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