「贈賄疑惑」の社長辞任で前途多難の日本風力開発 「洋上風力立地県」の秋田県知事はご立腹

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秋田県は、風力発電に適した風の吹く場所として全国でも指折りの「洋上風力立地県」だ。県は2011年に「秋田県新エネルギー産業戦略」を策定、洋上風力を産業活性化策の柱の一つと位置づけている。

秋田県の試算では、4つの洋上風力プロジェクトによる県内への経済波及効果は約3600億円、雇用創出効果は約3万5000人となる。洋上風力にかける期待はどこよりも強かった。

その甲斐もあって、洋上風力の大型プロジェクトの事業者公募では、全3海域のうち2海域が秋田県から選ばれた。その落札結果が2021年12月に公表され、圧倒的に安い売電価格で「総取り」を果たしたのが三菱商事などの企業連合だった。

入札やり直しから翻弄された約1年半

この圧倒的な落札結果を受けて、三菱商事に敗退した企業からは公募入札ルールを見直すべきだとの「物言い」が入った。その一つが日本風力開発によるものだった。

多額の賄賂を受け取った秋本議員が永田町で「物言い」の一端を担ったのではないか。それが塚脇氏や秋本議員にかけられている疑惑だ。

「物言い」の結果、すでに入札が始まっていた秋田県八峰町・能代市沖のプロジェクトはやりなおしが決定。入札ルールを見直すことが決まる。経産省と国交省による洋上風力に関する審議会で見直しについて議論が進められ、見直し案は2022年10月にまとまった。

洋上風力の「評価基準見直し」の経緯

その後、秋田県の2海域を含む合計4海域の入札が始まり、今年6月末に締め切られた。早ければ2023年内にも落札結果が公表される見通しだった。

だが、日本風力開発と秋本議員をめぐる捜査が明らかになって以降、振り出しに再び戻ろうとしている。見直された公募入札ルールの再検証や、すでに締め切られた入札のやり直しを行うべきだとの声が取りざたされているからだ。

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