では、社会科の勉強はどうか?
「最近のことはわからないかもしれないが、歴史のことはわかるだろう」と考えがちだ。しかし、これについても頻繁に間違いがある。
指摘すると間違いを認め、場合によっては正しい答えに修正する。しかし、これでは、こちらが家庭教師になってしまうわけで、おかしなことだ。
ところで、ChatGPTを用いて歴史の勉強をするのは楽しいことだ。知りたいことや、それまで疑問に思っていたことなどをピンポイントで尋ねることができ、それに対して簡潔な答えが返ってくる。だから、興味を失わずに歴史の勉強を進めることができる。このような利点は、是非とも活かしたい。さまざまな勉強にChatGPTを使えれば、大変効果的だ。
そのような面白さがあるから、歴史をはじめとするさまざまな科目で、すでにChatGPTを用いて勉強をしている学生や生徒が多数いるはずだ。しかし、彼らは、それとは知らずに、誤った知識を学んでいる危険がある。
これは非常に深刻な事態だ。これに対して学生や生徒に注意を喚起することは、いますぐ行うべき、緊急の課題だ。
危険性はガイドラインで強調されていない
日本では、東京大学をはじめとするいくつかの大学がChatGPTの利用についての見解を表明している。それらによれば、ChatGPTだけで論文を書くことは適切でないとされている。文部科学省が7月4に発表した生成AIに関するガイドラインも、同様の姿勢だ。論文コンテストなどにChatGPTだけを用いて書くことが適切でないということが述べられている。しかし、上で述べたようなハルシネーション問題は、重視されていない。
教育におけるChatGPTの利用についての公的機関の見解はいくつかある。まず、2023年1月に、ニューヨーク市が公立学校での利用を一時禁止して話題となった。しかし、利用を認めるべきだという声が強く、2023年5月に、これを解除した。
ユネスコ、世界銀行、OECDなどの国際機関も、勧告やレポートを出している。そこでは、教育現場におけるChatGPTの利用について、おおむね肯定的な考えを打ち出している。その反面で、ハルシネーションの問題については、あまり強調されていない。
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