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ポーランド「鉄道撮影禁止法」が巻き起こす波紋 軍事機密は重要だが社会主義時代の苦い記憶も

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ポーランド人は、過去に苦い経験をしている。何十年も前、まだ社会主義国家だった1980年代、同国には鉄道の撮影を禁止する法律があった。架線柱や建物の壁、時にはトイレの中にさえ撮影禁止という看板が掲げられ、列車にカメラを向けているところが見つかればたちまち拘束されるというのが日常だった。

ポーランドの特急列車EIP(撮影:橋爪智之)
ワルシャワ郊外を走る急行列車(撮影:橋爪智之)

だが、その後民主化されたポーランドでこの忌まわしい法律は廃止され、人々は駅構内でも自由に撮影することができるようになった。今回の新たな法的規制は、30年以上にわたって手にしてきた自由を再び奪い、拡大解釈すれば市民生活すら脅かす可能性もある悪法である、というのが同誌の主張で、刑法改正に関連する修正案を提出するよう、上院議員に訴えるように呼び掛けている。

鉄道撮影という「自由」を守るために

このポーランドの話を知った一部の人からは、昨今の「撮り鉄」の暴走を引き合いに出して、日本も鉄道の撮影を禁止するべき、というような声も上がった。だが、そのような法案がもしも正式に成立すれば、鉄道ファンのみならず駅や車内でスマートフォンのカメラをいじっているあらゆる人を違法として扱うことができてしまう可能性が出てくる。準戦時体制下で一定の情報保護はやむをえない環境と、趣味人の暴走では測る物差しが異なる。決して同列に語れる話ではない。

ロシアのウクライナ侵攻開始直後に見られたウクライナ避難民を運ぶ救援列車(撮影:橋爪智之)

ポーランド人は、法律によって写真撮影など個人の自由な表現や行動が禁止されることの重みがどれほどのものか、過去に自分たちが歩んできた歴史の中で十分に味わっている。だからこそ、例え今が準戦時体制という状況下であっても、全面的な撮影禁止という法律だけは何としても避けたい、というのが偽らざる心境なのだ。

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