ポーランド「鉄道撮影禁止法」が巻き起こす波紋 軍事機密は重要だが社会主義時代の苦い記憶も

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PKP Intercity EP09
ポーランドの駅に停車するチェコからの国際急行列車。このような写真撮影ができなくなるかもしれない(撮影:橋爪智之)
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ポーランドの老舗鉄道雑誌Świat Kolei(シヴィアット・コレイ)はSNSを通じ、同国の国民議会で採択された鉄道撮影禁止に関する刑法改正に対し、深い懸念を表明するとの声明を発表した。

ポーランドはウクライナの隣国であり、ロシアのウクライナ侵攻が始まった当初は避難民を真っ先に受け入れた国として知られる。また一方で、西・中欧諸国からウクライナへ向けて大量に提供されている兵器や支援物資などの輸送経路にも位置しており、これらを輸送する貨物列車が多く通過する。一方で、親ロシアのベラルーシとも国境を接している。

すでに警察や軍に拘束された事例も

ウクライナは戦争の真っ只中で、ポーランドもそこへ深く関わっていることを考えれば、軍事に関連すると思われる貨物列車の撮影は当面自粛するべき、とは思われるだろう。

だが先述の鉄道雑誌Świat Koleiは、この新しい法律が国家の安全にとって何のメリットももたらさないどころか、鉄道ファンのみならず一般の乗客であっても、列車内外で写真撮影や録音、録画といった行為が制限され、それはスマートフォンでの撮影などにも及ぶ可能性があることを危惧しており、こうした法律は、すべての乗客に対して不当な弾圧を加えるための口実となる可能性がある、と深い懸念を示している。

実際に、この数カ月間に列車を撮影していた鉄道ファンが、警察や軍によって拘束されるという問題がすでに発生している。

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