大学ラグビー界で頂点に立ち続けた帝京大学ラグビー部。最強軍団確立までの試行錯誤。

岩出雅之(いわで・まさゆき)/帝京大学 スポーツ局 局長 スポーツ医科学センター教授。1958年生まれ。大学時代、ラグビー部でフランカーとして活躍。78年大学ラグビー選手権優勝。公立中学、高校教員を経て、96年に帝京大学ラグビー部監督に就任。全国大学ラグビー選手権での10度目の優勝後、監督を勇退。2022年から現職。(撮影:佐々木 仁)
ビジネスパーソンの間で今、「心理的安全性」という言葉が大きな関心を集めるようになってきた。企業などの組織や自身の仕事を一変させるこの言葉の意味とは何か。『週刊東洋経済』9月2日号では「『心理的安全性』超入門」を特集。注目キーワードのすべてを解説する。
9月開幕のラグビーワールドカップ フランス大会。日本代表には主将の姫野和樹選手や副主将の流大(ながれゆたか)選手など、数多くの帝京大学ラグビー部出身者がいる。彼らを育てたのが、帝京大学スポーツ局の岩出雅之局長である。ラグビー大学選手権で10度の優勝を果たした帝京大ラグビー部を監督として率いた人物だ。その最強軍団をまとめるカギが心理的安全性であった。
──監督就任時のラグビー部の状況はどうだったのでしょうか。
ラグビーという競技は体を痛めるし、しんどい。トレーニング段階から厳しい要素がいっぱいある。学生がそれを乗り越えるのは並大抵ではない。しかも、上級生、下級生のヒエラルキーが強く、典型的なトップダウン型。大学スポーツの体質そのものだった。
当時は80人くらいの集団で、これをどう変えていくか。「整えていく」という感覚が近い。伝統校に追いつき、追い越すにはどうしたらいいのか。彼らから学びながら、チームをつくりたかった。しかし、同じことをしていても勝てない。5年くらい経って、自分たちの文化が必要だと感じた。
未来の幸せにつながるよう
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