70年代生まれ、イギリス「国鉄型特急」第2の人生 首都からは消えたがスコットランドで復活
クラス800の登場後もHSTが併用される時期が続いたが、2019年6月をもってGWRが使用していたHSTがロンドン発着の運用から撤退した。これに先立ち、GWRは2018年秋にロンドン北西部の車両基地「オールド・オーク・コモン」でファン向けのお別れイベントを開催。HSTのみならず、プロトタイプのクラス41をも公開するという大サービスで、全英から多くの人々が訪れたことを記憶している。
HSTはGWR以外の鉄道が運行する車両も含めてロンドン発着列車としての運用はなくなったものの、まだ車両の耐用年数に達していないとの見解もあり、”再雇用”の可能性が取り沙汰されていた。2011年に発表された政府の報告書によると、HSTに使用される客車「Mark 3」は、障害者法を順守するうえで必要とされる若干の変更や改良を行うことを条件に、2035年まで運用が可能と判断された。
スコットランドの都市間特急に
そこで新たな使い道として、スコットランドの鉄道網、スコットレール(ScotRail)にて主要7都市を結ぶ新たなインターシティ用列車として導入することが決まった。
7都市とはスコットランドの首府・エディンバラ(Edinburgh)、最大都市グラスゴー(Glasgow)、スターリング(Stirling)、パース(Perth)、ダンディー(Dundee)、アバディーン(Aberdeen)、インバネス(Inverness)で、新たなブランド名として”Inter7city”という名称を掲げた。運行開始は2018年5月で、GWRから譲り受けたHST車両は2019年5月までにすべて営業運転に投入された。編成は客車4~5両と機関車2両の組み合わせで、計26本ある。
車両の改装に当たっては、テーブルを付けた座席の増加、荷物スペースの拡大、座席の電源ソケットの設置に加え、無料Wi-Fi設備も取り付けた。「Mark 3」にはもともと全車両にトイレがあったがこれを使用不可とする一方、新たにバリアフリー対応の大型トイレユニットが設置された。大きな変化は、GWR時代は手動だったドアが自動化され、ボタン1つで開閉できるようになったことだ。
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