70年代生まれ、イギリス「国鉄型特急」第2の人生 首都からは消えたがスコットランドで復活

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「クラス41」は高速列車のプロトタイプとして2両の試作動力車が開発され、幹線ルートでのテストを繰り返した。やがて1975年、量産型の「クラス43」がいよいよ「インターシティ125」として登場。翌1976年から125マイル(時速201km)で走る優等列車として幹線を中心に運行され一世を風靡し、イギリスの鉄道の代表的な車両の1つとして40年以上にわたって活躍を続けてきた。

イギリス クラス41
HSTの機関車のプロトタイプとして開発されたクラス41(筆者撮影)
HST インターシティ塗装
国鉄時代のインターシティ塗装をまとったHST。2018年の「お別れイベント」にて(筆者撮影)

HSTの編成は、最大9両の客車「Mark 3」の前後にディーゼル機関車1両ずつを連結した構成だ。ディーゼルエンジンで動く列車としては今もなお世界最速の記録を維持している。1973年6月12日には、乗客なしで時速143.2マイル(時速230.5km)を達成。さらに1985年9月27日には、営業運転中のディーゼル旅客列車として最速の時速144マイル(時速231.8km)を記録した。当時の運転士らは時速150マイル突破を目指そうとしていたが、乗客に危険が及ぶとして英国鉄道委員会(BRB)がストップをかける事態にまで発展したという。

日立製車両デビューで「第2の人生」へ

製造は1982年に終了したが、その後は後継車両がなかなか生まれず、21世紀に入ってもしばらくの間、HSTは高速列車の中心的存在として走り続けた。

製造後40年ほども経った車両をいつまでも使い続けるわけにはいかないと考えたイギリス運輸省は、都市間高速鉄道計画(IEP)と称する車両置き換えプロジェクトを立ち上げた。日立製作所は2012年、IEPに沿った車両の製造・保守を一括で受注。走行予定路線にある非電化区間や単線、古いシステムの信号が残っているなどさまざまな条件に柔軟に対応でき、かつ欧州規格やイギリス規格に適合する車両を開発した。IEP用車両「クラス800」は2017年10月から営業運転に投入された。

このプロジェクトを通じ、日立は合計866両の大型受注を獲得。架線から集電して走るいわゆる電車タイプの車両だけでなく、非電化区間も走れるよう、床下にディーゼル発電機を搭載した「デュアルモード」(バイモードとも)方式の車両も採用した。これにより、HSTが“架線下のディーゼル特急”として延々と電化区間を走るという問題も一気に解決した。

HST,class180,Class800の並び
日立製車両のクラス800(右)、アルストム製のクラス180(中央)と並んだHST(筆者撮影)
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