「歴史問題は封印して前進」日米韓首脳会談の危険 覚悟ない岸田、譲歩する尹、スルーのバイデン

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アメリカにも当てはまることだが、皮肉なことに現在の政治情勢では、こうした現実について率直な議論をすることができない。しかし、わずからながらだが、変化の兆しはある。

3カ国の安全保障協定に向けた進展が困難に直面するとすれば、その最大の要因は植民地と戦時中の歴史の問題を真に解決することなく日韓関係を推し進めようとする試みである。関係正常化は、主に韓国での政権交代の結果であるが、以前の進歩的な政権の時でさえ、関係が深刻に悪化している状態を変える必要があるという思いが強まっていた。

尹大統領は、韓国の国内政治において反日的な言い回しを使うことを非常に明確に拒否し、徴用工問題、福島原発汚染水排出をめぐる議論、輸出管理問題、2018年のレーダー照射事件などの安全保障協力に対して残り続ける障壁を一方的に解決するための措置を講じた。

尹大統領の対中姿勢は「日米に指示されてる」

尹大統領の支持率は低位安定しているとはいえ、韓国政治における分裂状態は変わらない。最大野党の共に民主党(国会では過半数占めている)は、激戦が予想される来春の国会議員選挙に向けて準備を進めている。

尹大統領が取り組む外交・安全保障政策と、国内経済改革について、進歩派は真っ向から問題点を主張している。これには、福島の汚染水排出、労働政策改革をめぐる労働組合との対立、徴用工賠償訴訟における一方的で見返りの伴わない決着、尹大統領が日米への従属的政策によって韓国の独立性を毀損しているといった非難が含まれる。

韓国の左派は、尹大統領の対中姿勢は日米に指示されたもので、韓国経済を危険にさらしていると主張する。韓国経済は、韓国からの半導体、電池、その他の技術製品の中国への輸出が急激に減少していることで、部分的に成長の減速に苦しんでいる。

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