「歴史問題は封印して前進」日米韓首脳会談の危険 覚悟ない岸田、譲歩する尹、スルーのバイデン
しかし、アメリカ側が本来用意していた議題に対しては、この内容は不十分である。
アメリカ側は、事実上、韓国と創設したNCGを広げて、3カ国の拡大抑止を議論する場を作りたいと考えている。しかし、こうした計画に対して日韓両政府が反対したと、韓国およびアメリカの高官は筆者に明かしている。
日本の当局者は、日本政府の政治的な制約を超えると思われる、核に関する多国間協議に警戒している。韓国側は、今年に入ってバイデン、尹両大統領の首脳会談で採択された2カ国間のワシントン宣言の重要性が薄れることを望んではいない。
アメリカの安全保障当局関係者は、6月にシンガポールで開催された3カ国防衛相会議で正式に発表されたミサイル防衛情報をリアルタイムで共有するという先の合意と、対潜水艦およびミサイル防衛のための3カ国共同訓練の確立を追求することを望んでいた。
進展をはらむ脆さへの懸念
過去にも重要な会議が開催されたキャンプデービッドで、独自に首脳会談を開催することのニュース性はあるだろう。だが、この会談の背後には、こうした進展がはらんでいる脆(もろ)さに対する懸念がある。
バイデン政権は、日韓の現政権が交代しても存続できる協力体制を作り上げるために、この1年間の成果を永続的なものにしようとしている。背景には、日韓両国が強く感じているように、アメリカの選挙でこれらの同盟関係に対する責任を実際に取らない人物がアメリカ大統領の座に戻る可能性へのおそれもある。
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