「暑さ対策」に無策の自衛隊は戦う以前に倒れる? 車両や装備の対策が他国に比べて大きく見劣り

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陸自は次期装輪装甲車としてパトリア社のAMVを選定した。本年度予算で29両の取得費232億円を計上、2025年度中の納入を計画している。これは国内生産を予定しているが、生産する企業が決定していない。それで調達単価などが担保されているのであれば極めて無責任だ。現在大手専門商社が間に入って生産企業を選定中だが、本年度で予算計上せずに、前述のプレートキャリアなどを前倒しして予算をつけるべきであっただろう。

また、陸自ではサングラス使用は基本禁止で、着用する際には医官の診断書が必要とされるが、まるで高校の校則である。サングラスをかけたら「不良」になるのだろうか。強い太陽光が眩しければ、特に逆光での索敵や交戦時に大変不利である。またUVをカットするアイウェアは白内障の予防にも有用である。

過度に体力を消耗しない環境整備を

航空自衛隊や海上自衛隊でも同じだ。航空基地の滑走路は照り返しが強い。整備員や警備要員などはサングラスを積極的に装備するべきだ。海自の艦艇の甲板で作業をする隊員も同じだ。防弾ベストも同じで、プレートキャリアや通気性の良いコンバットシャツの装備がない。これも早急に装備化を進めるべきだ。

このような高温や夏場対策は「楽をするため」ではなく、隊員が力を発揮するために必要不可欠だ。ただでさえ自衛官の募集には苦労している現実がある。隊員が過度に体力を消耗しない環境整備はリクルートの面でも必要だ。

清谷 信一 軍事ジャーナリスト

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きよたに しんいち / Shinichi Kiyotani

1962年生まれ、東海大学工学部卒。ジャーナリスト、作家。2003年から2008年まで英国の軍事専門誌『ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー』日本特派員を務める。香港を拠点とするカナダの民間軍事研究機関Kanwa Information Center上級アドバイザー、日本ペンクラブ会員。東京防衛航空宇宙時評(Tokyo Defence & Aerospace Review)発行人。『防衛破綻ー「ガラパゴス化」する自衛隊装備』『専守防衛-日本を支配する幻想』(以上、単著)、『軍事を知らずして平和を語るな』(石破茂氏との共著)など、著書多数。

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