南アフリカ軍の装甲車にはほぼすべて車両左側に給水タンクが装備されている。これは南ア軍の作戦地域は乾燥地帯で水が少ないという理由が大きい。搭乗した下車歩兵は自分の水筒(2リットル×2個)には手をつけないで先に車両の水を飲む。
我が国でもこれは有用ではないか。適宜の水分の補給で隊員の体温を下げ、体内の水不足を補って熱中症を防ぐべきだろう。給水タンクの水は負傷者の傷口を洗うことにも使用できる。また陸自では多くの部隊では諸外国で使用されている3リッター・クラスのハイドレーション(背負式水筒)はなく、1リットル程度の水筒しかもっていない。せめて水筒の数を2個にすべきだ。
個人装備でも見劣り
隊員の個人装備も同じだ。陸自のボディアーマーは古いタイプで、砲弾の破片などを防ぐソフトアーマーの前後に小銃弾の貫通を防ぐ防弾板が装備されている(だが予算不足で防弾板は大幅に足りていない)。重量は14キロにもなるので、拠点防御などはともかく、野戦で戦うのは不可能だ。通気性も悪く体内に熱がこもるのでサウナスーツと化す。
諸外国では防弾プレートのみを装着するプレートキャリアを20年ぐらい前から装備している。併せて胴体部分に通気性のいい素材を使ったコンバットシャツも使用されている。これらは先進国だけではなく、途上国でも広く採用されているが陸自では採用されていなかった。
筆者は岸信夫元防衛大臣や吉田圭秀陸上幕僚長(当時の肩書)にも質問してきたが、やっと本年度からソフトアーマーとプレートキャリアが分離された「18式防弾ベスト」が導入され、本年度予算には8000セットが27億円で要求されている。
本来2023年採用であれば「23式防弾ベスト」と命名されるはずだ。だが18式なのは計画があったが大きく遅延したのか、装備計画がなかったが急遽開発されて、既存の18式個人装備のシステムとされたかのいずれかだろう。筆者が取材する限り後者の可能性が高い。
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