手作りスクーターで坂道を激走、フィリピンの奇祭 山岳先住民の「収穫祭」では頭に猿や猪の冠

✎ 1〜 ✎ 9 ✎ 10 ✎ 11 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

スタートすると減速やブレーキも使えないスクーターで、曲がりくねった山道を急スピードであっという間に降りていく。どこかで転倒し、ケガ人が出ているのではないかと、見ている者をハラハラ、ドキドキさせるレースだ。

山の上の展望スペースからバナウェ町の中心部まで木製スクーターで一気に駆け下りる(写真:筆者提供)

祭りのもう1つのメインイベントは、町の中心部の体育館で行われるイフガオ各地の伝統競技や儀礼の踊りだ。伝統競技の出し物では、子どもたちによる竹馬や吹き矢、こまを回してぶつけ合う遊びなど、日本人にもなつかしいゲームが次々と紹介される。

腕相撲や足相撲などに参加する子どもや大人は必死の形相で、地元の人たちも応援に力が入る。

日本の相撲とそっくりの四つ相撲競技も披露されたほか 、「カッカイット」と呼ばれる、片足を両手でつかんで引き上げたまま、もう一方の足で立ってお互い相手にぶつかり、土俵から押し出すというイフガオ独特の片足相撲も紹介された。

これは土地や水源を巡って村で争いが起きたときに、村の長老が当事者の家長らを呼んで、お互いの主張にけりをつけさせるために行った儀礼の1つだったという。相撲で負けた家長は素直に要求を引き下げたという。

呪いをかける「戦争の舞」

儀礼の踊りを紹介するプログラムでは、まず各村の老若男女たちがゴングの奏でる賑やかなリズムに合わせ、両手を広げて輪になって踊る、お祝いのダンスが披露される と、観光客や住民から大きな喝采が起きた。女性の踊り子だけで頭上に野菜などを入れたザルを載せて踊る舞踊も、茶目っ気があり歓声が飛ぶ。

「戦争の舞」を踊る男たち。体育館の中が静まり返った(筆者提供写真)
次ページ奇祭の最後を締めくくる儀礼の舞
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事