特需消えた「マッチングアプリ」熾烈なシェア争い 新参者の淘汰続き、国内は「3強」の寡占状態に
例えば現状では、ペアーズはタップルよりもユーザーの年齢層が高いとされ、真剣な出会いを求めるのか、カジュアルな出会いを求めるのかによっても、利用されるサービスに違いがある。
エウレカの山本代表は「今の状態をよしとして安定的にやっていくこともできるが、さらなる成長を目指したい」と強調する。結婚以外を目的にするユーザーにもターゲットを拡大する戦略の下、将来的には独身者の半分が利用するサービスを目標に掲げる。単純計算では、現在の5倍の利用者増を目指すことになる。
「まだまだパイをとれる」。そう話すのはタップルの飯塚代表だ。コロナ禍まっただ中の2020年3月に就任した飯塚代表は、親会社であるサイバーエージェントの藤田晋社長の後継者候補の1人とも言われる。
「ユーザーがなるべく短期間で恋人を見つけられるようにしたい」と話す飯塚氏。あらかじめデートプランや日時を設定し、デート相手を24時間以内に募集できる「おでかけ機能」で特許も取得した。
マッチングアプリは、出会いを促すという目的がありながら、ユーザーに長期間残ってもらうほうが運営者側の収益になるという矛盾をはらむ。しかし20代の利用者が多いタップルでは、1度恋人を見つけて使わなくなったユーザーでも、時が経って再度使ってくれるケースが多いという。1度目の利用からなるべく早く恋人を見つけられるサービスにすることで、2度目以降の継続的な利用を促す戦略だ。
「マッチングアプリ疲れ」という言葉も飛び交う中、なるべく短期間で恋人を見つけるための機能拡充は、重要なポイントになりそうだ。
M&Aという選択肢も
withとOmiaiは、アメリカのプライベート・エクイティファンドであるベインキャピタルの手引きによって、2023年3月にホールディングス化が実現した。
両サービスを統括するエニトグループの小野澤代表は「withとOmiaiそれぞれが本来のターゲット層に注力することで、取り合いになっていた部分を解消できる」と、ホールディングス化のメリットを説明する。再編を通じて、バックエンドの共有による運営コストの低減なども進める方針だ。
ペアーズが1サービス内でターゲット層を拡大する戦略であるのに対し、エニトグループではターゲット層の異なるサービスを複数展開する戦略のようだ。さらなるM&Aについても慎重に検討していくという。
リクルートで「ゼクシィ縁結び」の前身となる事業を立ち上げた後、Match GroupでもTinder Japanの代表を務めるなど、国内のマッチングアプリ業界を先導してきた小野澤代表。「海外市場に挑戦していきたい」とも話し、APAC地域でテスト版をローンチ済みだ。
大手同士による、ユーザーの奪い合いへと突入したマッチングアプリ業界。3強各社の異なる成長戦略は、どのような結果に結びつくのか。それぞれのトップの手腕が試されるタイミングだ。
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