人間ドック、医師が教える「ほぼ無意味な検査」2つ 多くの人は「通常の健康診断」で十分な場合も

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また、手術をした場合、男性機能が失われる場合もあります。「生涯現役」でいたい人にとっては、精神的なダメージを負うことになるでしょう。ただ、がんの進行には個人差があり、前立腺がんが腰椎に転移すると激しい痛みが生じます。そうなった場合は「早く調べておけばよかった」「早期発見して手術しておけばよかった」となるでしょう。どちらになるかは、誰にもわかりません。

こうしたことからアメリカの予防医学協会では「個人の判断に委ねる」としています。ただ、PSA検査自体が比較的新しい検査ですから、まだ各方面の意見が一致していないこともあります。今後、新たなエビデンスの出現により推奨の方針が変わる可能性は多いにあります。

頸動脈に超音波を当てる検査は正確性に欠ける

脳ドックは現在、実施されているのは日本だけです。アメリカでは脳ドックの一部の検査は「行わないほうがいい検査」とされています。

脳ドックでは頸動脈(首)に超音波(エコー)を当てて、血管が狭くなっていないかどうかを調べます。この検査の有効性については証明されていません。大きな問題としては、「偽陽性=問題がないのに『陽性』、つまり異常な所見があると判断される」ケースが、アメリカでは36.5%もあったというデータがあることです。

頸動脈が狭くなりすぎていると、血管が詰まって脳梗塞を起こしやすくなるのは事実です。そのため、場合によってはステント留置で血管の通りをよくしたり、血管の内側を切除して広げる手術を行います。

ですが、エコー検査をした結果「手術の必要あり」とされながら、実際にはまったく軽症だったということもありうるのです。もちろん、麻酔をかけてメスを入れるのですから、体にダメージが残る場合もあります。

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