今林:パッキングするという考え方自体は、現在では目新しいことではありません。他社も他社なりの方法でやろうとしています。
しかし、われわれが違うのは、それをAIのドメインに絞っているという点です。
われわれはAIに最適化させるような形でパッキングを行っています。そしてその方法について知財を持っています。これを先行して進めてきたので優位に立つことができた。
われわれは、それを「AI×秘密計算」と言い表しています。
実は、これがビジネス面の強みに関係するところです。暗号化に詳しい海外のベンチャーであっても、AIのエンジニアを抱えているわけではありません。そこは他社頼みになります。逆に、AIの会社は暗号がわからないので、暗号化されたデータをもらっても解析できない。
これに対して、われわれは、それを2つ組み合わせて価値創出できる。2つを持ち合わせることによって実現するビジネスモデルです。他社にとってはこれが模倣障壁となります。秘密計算の暗号系のエンジニア・リサーチャーとAI系のエンジニア・リサーチャーを抱えることで、戦略上のポジションが成り立っている。
目に見えない手法に特許は要らない
井上:知財のお話もありましたが、特許はこの世界でどれぐらい有効なのでしょうか。
今林:特許というのは、知財の侵害を検証できるものは有効なのですが、アルゴリズムのように、裏で動くエンジン、目に見えないものは特許が破られたかどうかがわからないので、あまり有効とされないんです。
だからわれわれは、そもそも目に見えない計算手法は秘密主義的に隠しており、特許化していません。公開されてもいい情報、例えばお客様に説明する時に使う設計資料など技術・製品仕様についてのみ特許を取っています。
井上:技術や知財の面でも、ビジネスやポジショニングの面でも強さがあることがわかりました。それでは「AI×秘密計算」によってどのようなサービスが実現するのでしょうか。
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