「会社員の昼食代」と日経平均株価の"意外"な関係 男性会社員と女性会社員の昼食代からわかること

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そこで次のような仮説を考えてみました。

女性会社員のほうがランチを大切にする傾向があるため、景気が悪くなって懐が厳しくても男性と比べるとランチ代は削りにくい。一方、男性会社員は懐が厳しいとランチ代を削り、所得が良くなってくると、ランチ代も上がる。

つまり“景気や株価が良い時には、男性会社員のランチ代が女性会社員に比べて上がり、逆に景気や株価が悪い時は男性会社員のランチ代が女性会社員に比べて下がる”という仮説です。

年末の株価はどうなる?

実際にこの関係を見てみましょう。グラフはちょっと工夫しています。男性会社員の昼飯代(平均)を女性会社員の昼飯代(平均)で割っています。

例えば、2020年(図中の〇)は1.00となっています。男性会社員の昼飯代と女性会社員の昼飯代がちょうど同じ額ということでした。グラフが1.00を上回ってくると、男性会社員の昼飯代が女性を上回り、逆に1.00下回ると男性会社員の昼飯代が女性を下回るというものです。

そして、このグラフと日経平均株価の関係はおおむね連動しています。これは仮説通りに男性会社員の昼飯代のほうが高いと、その年の年末の株価があがり、男性会社員の昼飯代のほうが低いと、株価が下がっている関係を示しています。

では最新の2023年はどうなっているのでしょうか(図中の□)。0.90という値になっていますが、年末の株価にとっては気になる水準です。

今回は「お小遣い調査」の資料から、そのなかに掲載されている昼食代を使って分析をしてみました。昼食代の分析期間が2014年からと短いことからも、この結果からだけで株価の予想するのは、言いすぎにもなりますが、世情を反映する昼飯代は景気や株価の動向と深い関係がありそうです。

吉野 貴晶 ニッセイアセットマネジメント 投資工学開発センター長

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よしの たかあき / Takaaki Yoshino

金融情報誌「日経ヴェリタス」アナリストランキングのクオンツ部門で、記録的となる16年連続で1位を獲得した後、ニッセイアセットマネジメントに入社。大学共同利用機関法人 統計数理研究所のリスク解析戦略研究センターで客員教授を兼任。青山学院大学大学院国際マネジメント研究科(MBAコース)で経営戦略、企業評価とポートフォリオマネジメントの授業の教鞭も取る。代表的な著書に『No.1アナリストがプロに教えている株の講義』(東洋経済新報社、2017年) 。

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