名作「ハイジ」が激変、著作権切れ作品のその後 権利元は誰なのか、スイス映画の現状も聞く

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――そもそも「ハイジ」を映画化する際の、いわゆる権利元は誰になるのでしょうか? 

幸運にもスイスは、作曲家なり元の著作権を持っている人が亡くなった場合、子どもなどが権利を継承するわけですが、本人が亡くなってから75年たてば、これは公共の財産ということになり、許可を得ないで映画を製作することができます。

ハイジの原作者のヨハンナ・シュピリが亡くなったのは1901年なので、著作権としては大丈夫だったんです。だから最初から今のスタイルで映画化しようと思っていました。

ハイジ おじいさん 
7月14日より全国順次公開中 同時公開される日本語版では、人気声優の内田真礼がハイジを、久保ユリカがクララの吹き替えを担当する©SWISSPLOITATION FILMS/MADHEIDI.COM

――この映画を作るにあたり、反発の声などはなかったのでしょうか?

SNSを通して、反発の声はありましたね。それは予想の範囲内でした。ただ、もともと本作のタイトルを『ハイジランド』にしようと考えていたときに、実際の観光施設である『ハイジランド』がわれわれのプロジェクトを聞きつけて、そのタイトルは容認できない、タイトルを変えないなら訴えると言ってきたので、タイトルの変更を余儀なくされた、ということはありました。

それとスイス伝統衣装協会が、わたしたちの作品の衣装のデザインに協力してくれたメンバーを協会から追放したという事件がありました。彼らにとっては伝統衣装をいじるということが許せなかったようですね。例えば日本でいうなら、着物の裾を短くデザインすると怒る人がいると思うんですが、その感覚に近いかもしれないですね。

スイスではB級映画は珍しい

――日本で紹介されているスイス映画というと、ダニエル・シュミット、フレディ・ムーラーといった、いわゆるアート系の映画が多く、こういったB級映画はなかなかなかったように思うのですが、スイスでもこういった映画は珍しいのでしょうか?

このような映画はほとんど作られていないですね。そもそもスイス映画自体が、それほど世界的に有名というわけではないわけなんですが、それはやはり助成金に関係があるんだと思います。

つまりほとんどの映画が国の助成金で作られるので、その作品が商業的に成功したかどうか、ということを特に問われないということはありますね。

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