もはや芸術!「塗り壁」はここまでスゴかった 左官職人が今、これほど脚光を浴びる理由
湿度の高い夏。塗り壁は部屋の湿気を吸ってくれる。湿度が下がり涼しく快適に感じられる。
逆に、乾燥している冬は塗り壁の中に含まれている水分が放出される。湿度を保ち快適に過ごすことができる。実際に、大浴場の脱衣場の壁と天井を塗り壁にしたところ、常時80%以上あった湿度が、1カ月で50%以下に下がったという実験結果がある。
ビニールクロスは安く、扱い易いため普及しているが、実は水に弱い。カビが生え易いという欠点ももつ。塗り壁に使われる素材のひとつである珪藻土の壁は湿気を吸収するだけでなく、身体に悪いと言われているホルムアルデヒドと吸着する。このように様々な機能や効果があるからこそ、日本の建築の長い歴史の中で塗り壁は愛されて続けてきたのである。
豊富なデザイン
自然素材で身体に優しいだけでなく、柔らかい雰囲気を持つ塗り壁。左官職人が手掛ける塗り壁はデザイン性の高さから、若い世代を中心に人気を集めている。実は塗り壁のデザインは数十種類もある。
こちらは、スパニッシュと呼ばれる人気のデザイン。コテの角の部分を使い、エッジを効かせて形を作っていく。
ここ数年、若い世代を中心に塗り壁が人気を集めているのは、このような職人の技によって壁紙には無い自分の好きなデザインを作ってもらえるからである。ちなみに、デザインによってコテを変えるため野宮さんは常に50種類以上のコテを持ち歩いている。
デザインは、それぞれの好みによって好き嫌いが大きくわかれるもの。だからこそ「お客さんの求めているものを見えるかたちにしていく」と野宮さんは言う。単純に機能だけでなくお客さんが何を求めているかを見極めることが、現代の左官職人には重要だ。
実際に家の壁を塗り壁に改装するならば、おすすめの場所はどこだろう。野宮さんに聞いてみた。